円は対ドルで0.7%超上昇した。ただ、ドル安が広がり、停戦を受けてリスク選好(投資家がリスク資産を買いやすい地合い)が改善する中でも、G10通貨(主要10通貨)の多くに比べ上げは限られた。
原油価格の1バレル当たり約20ドルの急落は、日本の交易条件(輸出価格と輸入価格の比率。改善すると同じ輸出でより多く輸入できる)に変化をもたらした。原油安は日本の輸入コストを押し下げ、通貨を下支えしやすい。
円高、交易条件の改善が追い風
日本の賃金統計(現金給与総額)が市場予想を上回った。これを受け、日銀の金融政策の引き締め(利上げなどで金融環境を引き締めること)が続くとの見方が維持されている。
USD/JPY(ドル円)では、1月下旬から3月にかけての上昇に対する反落が焦点だ。目標として、157円台前半にある50日移動平均(直近50営業日の平均値でトレンド判断に使う指標)と、155円台半ばの1月の窓(ギャップ。相場が飛んで空白ができた価格帯)が挙げられる。
円は地政学リスクの後退を背景に対ドルで持ち直している。一方、今週は豪ドルやユーロなど他の主要通貨の上昇がより目立つ。円高は、停戦合意を受けたリスクオン(投資家が株などリスク資産を選好する局面)の流れの一部といえる。
背景の一つが原油安だ。WTI原油(米国の代表的な原油指標)が数日で1バレル105ドル超から87ドル近辺まで下落し、日本の貿易収支への圧迫が和らいでいる。急落は交易条件の改善を促す。
日銀の引き締め観測が円を下支え
国内要因も円高を支える。3月の現金給与総額は前年比2.8%増と予想を上回り、物価上昇が賃金を通じて持続しやすい状況を示唆した。これにより、日銀が金融政策の正常化(超緩和から通常の政策運営へ戻すこと)を進めるとの見方が強まりやすい。
デリバティブ(オプションや先物など、価格が他の資産に連動する取引)では、ドル円の下落を見込んだ構えが意識される。たとえば円コール(円高で利益が出やすいオプション)やドルプット(ドル安で利益が出やすいオプション)で下落に備える戦略が選択肢となる。
チャートでは、157円台前半の50日移動平均への戻りが意識される。これを下回れば、155円台半ばにある窓の水準が次の目安となる。