米国株価指数先物は、ドナルド・トランプ大統領が対イラン攻撃の計画を2週間停止したことを受けて上昇した。停止は、ホルムズ海峡の条件付き再開と結び付いている。ダウ工業株30種平均(DJIA)先物は約1,200ポイント(約2.6%)上昇し、S&P500は約2.4%、ナスダックは約2.8%上昇した。
パキスタンが停止を仲介した。シェhbaz・シャリフ首相が延期を求め、イランに海峡再開を要請したという。イランは「調整があれば」2週間は安全航行が可能としており、協議は金曜日にイスラマバードで予定されている。
Market Response And Volatility
封鎖への懸念が和らぎ、原油価格は下落した。WTI(米国産原油の指標)は17%以上下げて約93ドルとなり、2020年以降で最大の1日下落率となった。週前半には115ドル超で取引されていた。ブレント(国際指標の原油)も16%以上下落して92ドル前後。
平時には世界の原油供給の約2割がホルムズ海峡を通過する。船舶動静データ会社MarineTrafficによると、水曜日に最初の船舶が通過した。海運大手マースクは運航に変更はないとしたが、全体の通航量はなお限定的だという。
市場の変動は落ち着き、VIX(Cboeボラティリティ指数=S&P500の予想変動を基にした「恐怖指数」)は25超から22近辺へ約15%低下した。半導体株が主導し、SMH(半導体関連ETF)は約5%高、ブロードコムは約4%高、マイクロンは7%高。
エネルギー株は下落し、エクソンとシェブロンはいずれも5%以上安となった。韓国株は8%上昇し、iShares MSCI新興国ETFは約5%上昇した。
Risk Signals And Hedging Ideas
停戦は早くも緊張の兆しを見せた。イスラエルがベイルート、レバノン南部、ベカー高原に対し10分間で100回超の攻撃を実施。レバノン当局は多数の死者と数百人の負傷者を報告し、サウジアラビアはドローン9機を迎撃したと発表した。
金(ゴールド)は2%前後上昇して1オンス4,820ドル近辺となり、米ドル指数(主要通貨に対するドルの強さを示す指数)は1%超下落して98.50近辺。ラッセル2000(米小型株指数)は年初来で5%超高となった一方、ダウ、ナスダック、S&P500は年初来で下落が続いている。
Cboeボラティリティ指数(VIX)が22まで急低下したが、これを「平穏」とは言い切れない。VIXの長期平均は19程度に近く、市場は今後30日間の大きな変動リスクをまだ織り込んでいる。この下落で、保険(下落への備え)を買うコストが下がった。幅広い株価指数のプット・オプション(株価指数が下がると利益になりやすい権利)や、VIXのコール・オプション(VIXが上がると利益になりやすい権利)で、停戦が崩れるリスクに備える選択肢がある。
WTI原油が17%も急落したのは、価格が大きく振れやすい局面が続いていることを示す。ホルムズ海峡は通常、世界の原油供給の約21%が通過するため、今回の一時再開は材料になり得る。原油先物(将来の受け渡し価格を今決める取引)やエネルギーETFのコール・オプション(上昇で利益になりやすい権利)は下落で割安になりやすく、海峡が再び閉鎖されれば利益機会が生じる。
株価指数先物の急反発は、2週間の暫定合意に依存しており、すでに綻びの兆しがある。相場が強い局面は、先週より低いコストで防御的な取引(損失を抑える取引)を組みやすい。イスラマバードでの協議が決裂し急反落する事態に備え、S&P500やナスダック100のプット・オプション(下落で利益になりやすい権利)でヘッジ(損失を相殺する備え)する手もある。
半導体株が急伸する一方、エネルギー株が売られるなど、勝ち負けが鮮明になっている。この差は、停戦の行方に絞った戦略を取りやすい。例えば、半導体ETFのVanEck Semiconductor ETFに対しブル・プット・スプレッド(プットを使った、上昇・横ばいを想定する複数の取引)でプレミアム(オプションの対価)を得る方法や、下落したエクソン・モービルなどに割安なコール・オプションを使い、紛争再燃時の値動きを狙う手法が考えられる。
金が上昇する一方で米ドルが下落している点にも注意が必要だ。ドル安は一般にリスク選好(リスクを取りやすい地合い)を示しやすいが、金高は安全資産への需要が続いていることを示す。両者の組み合わせは、市場が「和平の物語」を完全には信じていない可能性を示唆し、混乱再燃を想定した備えが合理的となり得る。