ハンガリー中央統計局(HCSO)のデータによると、2026年3月のハンガリーのインフレ率(物価上昇率)は市場予想を下回った。ただし、2月に付けた過去10年の低水準は上回った。2月からの上昇は「緩やか」とされ、インフレ率の上げ幅は予想より小さかった。
コアインフレ(燃料など価格変動が大きい品目を除いた物価上昇率)は前月から低下し、2026年3月は前年同月比1.9%に鈍化した。
Inflation Path And Forecasts
報告書で参照された予測では、前年同月比のインフレ率は2026年上期末にかけておおむね3.0~3.5%になる見通しとされる。2026年末には約4.5%に達すると予測されている。
先行きには、エネルギー価格の上昇やハンガリーフォリント(HUF、ハンガリーの通貨)の変動(為替が大きく動くこと)に伴うリスクが含まれる。2026年の平均インフレ率は、ハンガリー国立銀行の目標である3%近辺だが、やや上振れすると見積もられている。
3月のインフレ指標は想定より弱く、中央銀行が直ちに対応を迫られる圧力はひとまず後退したとみられる。コアインフレが1.9%へ低下したこともあり、短期的には政策当局に余裕が生まれる。このため、次回の金融政策会合でのサプライズ利上げ(予想外の政策金利引き上げ)の可能性は低下した。
一方、エネルギー市場の不安定さ(価格の大きな変動)は続いている。指標となるブレント原油価格は、地政学的緊張を背景に過去1カ月で8%超上昇した。2025年にもエネルギー主導のインフレ再加速が見られ、中央銀行が最終的に強力な引き締め(大幅な利上げなど)で対応した経緯がある。加えて、フォリントは対ユーロで395~405の範囲で振れ、先行きの不確実性を高めている。
Second Half Rates And Currency Risks
焦点は年後半に移りつつある。インフレ率が4.5%に向けて再加速すると見込み、現状の市場の落ち着きと、今後想定される金利上昇圧力との間にずれが生じ得る。これは、2026年後半の利上げを織り込むフォワード・レート・アグリーメント(FRA:将来の金利水準をあらかじめ固定する金利先物に似た取引)が、割安に評価されている可能性を示す。
フォリント変動のリスクが明確な以上、通貨エクスポージャー(為替変動の影響を受ける持ち高)管理にはオプション戦略の活用が有効となり得る。ユーロ/フォリント(EUR/HUF)でストラドルやストラングル(方向は決めず、価格が大きく動くことに賭けるオプションの組み合わせ)を用いれば、上昇・下落どちらかを断定せずに大きな変動に備えられる。足元の安定局面は、インフレ指標が再び上向く前に、比較的低コストで変動性取引(ボラティリティを狙う取引)を仕込める局面となる可能性がある。