米国とイランが「2週間の停戦」に合意したとの報道を受け、金(ゴールド)は3週間ぶり高値を付けた後、上げ幅を縮小した。金価格(XAU/USD)は一時4,857ドルまで上昇し、その後は4,755ドル近辺で推移。上昇率は約1%だった。
ドナルド・トランプ氏は、テヘラン(イラン政府)がホルムズ海峡の「完全で即時かつ安全な開放」を確実にする場合、対イラン攻撃を2週間停止すると述べた。イランのアッバス・アラグチ外相は、イラン軍の調整により安全な航行(船が安全に通過できる状態)を維持できるとの見解を示した。
停戦協議と市場の反応
協議の第1回は金曜日にイスラマバードで開かれ、イランの「10項目の和平案」を議題とする予定。米ドル指数(主要通貨に対するドルの強さを示す指標、DXY)は98.80近辺で推移し、約0.87%下落。一方、世界の株式は上昇した。
イランのタスニム通信は匿名筋の話として、レバノンへの攻撃が続けばイランが停戦を離脱する可能性があると報じた。原油も下落し、WTI(米国の代表的な原油指標)は10%超下げて約87ドルとなり、インフレ圧力(物価上昇の圧力)を和らげる要因となった。
市場は米国時間後半に公表される米連邦準備制度理事会(FRB)の3月会合議事要旨(会合で何が議論されたかを示す記録)に注目。また、直近の米非農業部門雇用者数(NFP:農業以外の雇用増減を示す主要指標)は労働市場の底堅さを示唆した。テクニカル面では、XAU/USDは50日単純移動平均線(SMA:一定期間の平均価格を線にしたもの)の4,927.91ドルを下回る一方、100日SMAの4,667.44ドルは上回った。RSI(14)(相場の過熱感を測る指数)は中立水準付近、MACD(トレンドの強さ・転換をみる指標)はプラス圏だった。
ニュース起点の上昇後のオプション戦略
このため、急激なニュース主導の上昇後は、アウト・オブ・ザ・マネー(現値から離れた権利行使価格)のコール(買う権利)を売る、またはベア・コール・スプレッド(高い権利行使価格のコールを買い、低い権利行使価格のコールを売って上昇リスクを抑えつつプレミアムを狙う戦略)を検討する余地がある。こうした局面ではインプライド・ボラティリティ(IV:オプション価格に織り込まれた将来の変動予想)が上がりやすく、オプションのプレミアム(受け取る/支払う代金)が高くなりやすいため、売り手に有利になりやすい。例えば、金オプションの変動性指数であるGVZ(ゴールド版VIXのような指標)は、2023年末の緊張局面で15%超上昇したとされ、プレミアムが大きくなりやすい環境だった。
WTIはOPEC+(石油輸出国機構OPECと非加盟産油国の枠組み)の供給管理(供給を抑えて価格を支える動き)や地政学リスクを背景に、直近1週間は1バレル86ドル超で底堅く推移。原油高が続くことで、FRBのインフレ警戒は残りやすい。
市場は今年のFRB政策見通しを修正しており、利下げ期待が強かった局面とは環境が異なる。最新の消費者物価指数(CPI:物価の上がり具合を示す代表指標)ではインフレ率が前年比3.5%と高止まりし、市場では2026年の利下げ回数の見込みが後退した。「高金利が長く続く(higher for longer)」という見通しは、利息を生まない金にとって逆風(価格を押し下げやすい要因)となりやすい。
テクニカル面では、金は足元で1オンス2,350ドルを上回り最高値圏に達したが、上昇が行き過ぎている可能性がある。目先の下値の目安(サポート)は2,280ドル近辺で、これを割り込むと調整が深まる恐れがある。その場合、プット(売る権利)やプット・スプレッド(プットの買いと売りを組み合わせ、コストとリスクを調整する戦略)で、買いポジションのヘッジ(損失を抑える手当て)や下落局面を狙う選択肢がある。
さらに、米ドル指数(DXY)は105.50を上回って強含み。FRB見通しの修正が他の中央銀行との金利差観測につながり、ドル高要因になっている。ドル高は、ドル建てで取引される金が海外投資家にとって割高になりやすく、金価格の重しとなりやすい。