米・イランの2週間停戦で供給途絶懸念が後退、ブレントとWTIは100ドル割れ

    by VT Markets
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    Apr 9, 2026

    原油価格は急落し、ブレント原油とWTIはともに100ドルを大きく下回った。背景には、米国とイランの2週間の停戦により供給途絶への警戒が後退したことがある。ホルムズ海峡の通航再開も懸念を和らげた。加えて、ガソリンなど精製品(原油を精製してできる燃料)の市況が弱いこと、米国の在庫統計が弱気の内容だったことも重しとなった。

    ブルームバーグの予備調査によると、OPECの3月供給量は前月比で約760万バレル/日減の2,210万バレル/日と、数十年ぶりの低水準となった。減少は、戦闘による生産・輸出の混乱や、ホルムズ海峡経由の輸出制限と関連している。

    Opec Supply Drop And Gulf Disruptions

    国別ではイラクの減少が最大で、280万バレル/日減の160万バレル/日だった。サウジアラビアは210万バレル/日減の840万バレル/日、UAEは140万バレル/日減の220万バレル/日。UAEは、海峡を通らずに輸送できるパイプライン(陸上輸送管)により、一部下支えされた。

    ホルムズ海峡の通航が維持されれば、失われた生産の一部は今後数週間で戻る可能性があり、回復は段階的になる見通しだ。今後の価格動向は、協議が長期的に有効な合意(持続する取り決め)につながるかが左右し、今週後半の交渉局面では値動きが荒くなる可能性がある。

    米国では、API(米石油協会による週次の民間在庫統計)が原油在庫の370万バレル増を報告し、市場予想(78万バレル増)を上回った。ガソリン在庫は400万バレル減、中間留分(軽油やジェット燃料など)の在庫は60万バレル減。EIA(米エネルギー情報局の政府統計)の発表はこの後予定されている。

    米国・イランの停戦発表を受け、原油の短期センチメント(市場心理)は弱気に傾いた。米国原油在庫の370万バレル増が下押し材料であり、公式のEIA統計で同様の傾向が確認されるか注視している。最大の不確実性は、この2週間の停戦が長期的な合意に発展するかで、価格は上下いずれにも大きく振れうる。

    Options Volatility And Trading Implications

    交渉を巡る不確実性から、オプション市場のインプライド・ボラティリティ(将来の変動率の市場予想)は高止まりしやすい。交渉の成否で価格が大きく動くと見込むトレーダーには機会となる。交渉が決裂すれば、価格が反発して1バレル=100ドル付近へ急戻りする可能性がある。

    ホルムズ海峡の通航再開は最重要要因だ。同海峡は世界の日量石油消費のおよそ2割が通過する。報じられた3月のOPEC生産2,210万バレル/日は、2025年以前に通常とされた日量3,000万〜3,200万バレルの水準から大幅に低い。正常化すれば、市場に戻り得る供給が大きいことを示している。

    2025年以降を振り返ると、地政学リスク局面では価格変動が拡大しやすい。例えばウクライナ情勢の初期には、2022年にブレントが130ドルを上回った。停戦報道で下落する今回も似た構図だが、外交が行き詰まれば急騰リスクは残る。したがって、原油を単純に売り持ち(ショート)する戦略は、材料の見通しが立つまでリスクが高い。

    価格下落は期近(直近の受渡し月)に集中しており、バックワーデーション(期近高・期先安の先物カーブ)を弱め、カレンダー・スプレッド(限月差の取引)の妙味が出る可能性がある。一方、ガソリンと中間留分の在庫減は、精製マージン(製品価格と原油価格の差)が改善し得ることを示す。クラック・スプレッド(精製マージンを先物で取引する手法)を買い、原油より精製品が相対的に強い局面を狙う余地がある。

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