米国とイランの停戦を受け、金融市場は「安心感」が広がる局面に入った。北海ブレント原油は約16%下落し、世界の株式と債券は上昇、米ドルは全面安となった。
景気に連動しやすい通貨(景気が良いと買われやすい通貨)が、リスク選好(投資家がリスクを取りやすい心理)の改善とドル安を背景に上昇した。停戦協議が維持されれば、ドルは米国とG6(主要6通貨圏)との金利差(政策金利などの差が為替に与える影響)が示唆する水準に向け、さらに下押しする可能性がある。
Focus On Fed Minutes
注目は米連邦準備制度理事会(FRB)の3月17〜18日会合の議事要旨(会合で何が議論され、どの程度の温度感だったかを示す文書)に移った。公表はロンドン時間19:00(ニューヨーク時間14:00)で、将来の利上げ(政策金利の引き上げ)に踏み切る「条件(どの程度の景気・物価なら動くのか)」が明確になる可能性がある。
市場は停戦後の「安心感」を強く織り込みつつある。米ドル指数(DXY:主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)は101.5を割り込み、今四半期で初めての水準となった。1週間で2.5%超下落している。豪ドルやカナダドルなどの資源国通貨(商品市況の影響を受けやすい通貨)が、投資家心理の改善を背景に相対的に強い。
米ドルにはなお下落余地があるため、この動きで利益を狙う戦略が考えられる。例えば、ドル連動型ETFのプットオプション(将来、決められた価格で売る権利)を買う、あるいはユーロのコールオプション(将来、決められた価格で買う権利)を買う方法だ。停戦が維持された場合の利益機会を取り込みつつ、損失を限定しやすい。
Oil Volatility And Strategy
停戦の影響はエネルギー市場にも及び、北海ブレント原油は大きく下落している。原油オプションの予想変動率(市場が見込む値動きの大きさ)も急低下し、CBOE原油ボラティリティ指数(OVX:原油オプションから算出される「将来の値動き見通し」を示す指数)は約20ポイント低下して昨年後半以来の低水準となった。地政学リスクが安定している間は、オプションのプレミアム売り(オプションを売って受け取る代金=プレミアムを収益源にする手法)の機会になり得る。
次の重要材料は、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会:FRBが金融政策を決める会合)の議事要旨だ。足元のインフレ指標ではコアCPI(食品・エネルギーを除いた消費者物価指数)が3.1%と下がりにくく、FRBが急いで政策を変えるとは限らない。議事要旨が想定以上にタカ派(利上げに前向きな姿勢)なら、直近のドル下落が素早く巻き戻る可能性がある。