銀(XAG/USD)は水曜日に6%超上昇し、火曜日に68.28ドルまで下落した後、77.00ドルを上回った。米ドルの買い持ち(ロング)ポジションの解消と、イランで「2週間の停戦」が発表されたことによる投資家のリスク選好(リスク資産を買いやすくなること)の改善が背景となった。
米国とイランは土壇場で合意し、戦闘を2週間停止することで、ホルムズ海峡を通る原油・ガス・肥料などの輸送の安全確保を目指す。これを受け、原油価格と米ドルは下落し、貴金属は株などのリスク資産とともに上昇した。
テクニカル面と勢い
XAG/USDは77.40ドル近辺で推移し、3月下旬の61ドル付近の安値を起点とする上昇チャネル(上値・下値が平行な帯の中で上昇する形)を維持した。4時間足では、RSI(相対力指数:買われ過ぎ・売られ過ぎを示す指標)が68付近へ上昇し、MACD(移動平均収束拡散法:トレンド転換や勢いを見る指標)はプラス圏へ転じた。
上値抵抗(レジスタンス)は、3月上旬の下落局面に対するフィボナッチ・リトレースメント(値動きの戻り目標を測る比率)の50%戻しにあたる78.90ドル付近、次いで80.00ドル近辺。さらに上では、上昇チャネル上限が61.8%戻しの83.20ドルと重なる。
下値支持(サポート)は、38.2%戻しにあたる75.00ドル付近、その後はチャネル下限の72.60ドルが意識される。次の下値の目安は火曜日の安値付近の68.00ドル近辺。
実需とポジション動向
マクロ環境の変動の一方で、銀の現物需要(実際の工業用途や投資用の需要)は強く、市場の下支えとなっている。シルバー・インスティテュート(銀業界団体)は2026年も大幅な供給不足(供給が需要に追いつかない状態)を予測し、4年連続になる見通しだ。主因は太陽光パネル製造向け需要の過去最高水準で、鉱山生産(採掘量)の増加を上回るペースで伸びている。
ポジション面では、CFTC(米商品先物取引委員会)のデータによると、ファンドなどの「マネージド・マネー」(運用主体)の銀先物のネットロング(買い越し)が6カ月ぶり高水準まで増加しており、投機筋が上抜け(ブレイクアウト:節目を超える動き)を見込んでいる可能性がある。銀オプションのインプライド・ボラティリティ(予想変動率:市場が織り込む将来の値動きの大きさ)も上昇しており、大きな価格変動への警戒が強まっている。こうした局面では、長期のコールオプション(買う権利:上昇局面で利益を狙う手段)を活用し、想定損失を限定しながら上昇に備える戦略が検討材料となる。