スイスの季節調整済み失業率は3月に3%で横ばいとなった。前月から変化はない。
このデータは前月比(month-on-month)で、季節調整済み(季節要因で毎年繰り返す増減をならして比較しやすくした数値)である。3月の公表値は3%だった。
スイス労働市場は下げ止まり
3月の失業率が3%で変わらなかったことは、弱含んでいたスイスの労働市場(雇用の状況)が下げ止まった可能性を示す。改善ではないが、景気が急速に悪化する懸念はいったん後退する。これにより、スイス国立銀行(SNB:スイスの中央銀行)は次回会合で「様子見」を続ける公算が大きい。
2月のインフレ率(物価の上昇率)が1.3%と低かったことを踏まえると、雇用指標が伸びない中での追加利上げは考えにくい。市場では夏までに利下げ(政策金利を引き下げること)観測が強まりやすい。短期金利の指標であるSARON(スイスの翌日物平均金利)に連動する先物(将来の金利水準を売買する取引)のオプション(将来、決めた価格で売買できる権利)では、SNBのハト派(金融引き締めに慎重)寄りの見方を織り込む形で値付けが進む可能性がある。
この流れはスイスフランに下押し圧力となりやすい。欧州中央銀行(ECB)が主要金利を4.0%で据え置いているため、金利差(国・通貨間の金利の開き)が拡大し、フランを保有する魅力が相対的に低下する。EUR/CHF(ユーロ/スイスフラン)を買い持ち(ロング:上昇を見込んで保有)し、今後数週間でユーロ高・フラン安を見込む戦略が意識される。
過去を振り返ると、SNBは2024年3月に主要中銀に先駆けて利下げを行い、市場の予想を外した経緯がある。先回りで景気を支える姿勢を示した例であり、現時点でフラン高に強気になりすぎるのは注意が必要だ。
SMIの戦略への示唆
スイス株式市場指数(SMI)にとっては、上値が限られやすい環境だ。失業率3%は、2024年の多くの期間に見られた2.2%より明確に高く、企業にとっての消費需要が弱くなりやすいことを示す。このため、指数が横ばいになりやすい局面では、カバード・コール(現物を保有しつつコールオプションを売ってプレミアム収入を得る手法)を売る戦略が収益化を狙える。