AUD/NZDは水曜のアジア時間に1.2170近辺で推移し、3月30日から続いていた上昇基調はいったん途切れた。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が4月会合で政策金利(OCR=オフィシャル・キャッシュ・レート)を2.25%に据え置いたことを受け、通貨ペアは小幅安となった。
市場ではおおむね据え置きが織り込まれていた。成長(景気の伸び)とインフレ(物価上昇)を巡る不透明感に加え、中東情勢を背景とした原油高が意識されていたためだ。焦点は、その後のRBNZ総裁アナ・ブレマン氏の会見での発言に移る。
先の上昇を支えた要因
豪ドルは、ドナルド・トランプ米大統領がイランへの軍事行動を2週間停止すると表明し、投資家のリスクを取りやすい心理(リスク選好)が改善したことで買われた。計画には、イランがホルムズ海峡を再開することと結び付いた「双方の停戦」が含まれる。
停戦はインフレ見通しに影響し、豪州準備銀行(RBA)に追加利上げ(政策金利を引き上げること)を迫る圧力を弱める可能性がある。市場では、ホルムズ海峡の封鎖によるエネルギーコスト上昇を背景に、5月会合で政策金利が4.35%方向へ上がるとの見方が一部で織り込まれていた。
RBNZは年7回の金融政策会合を開き、各会合でOCRを決定する。一般に金利が高いほどNZドル(NZD)を支えやすく、金利が低いほどNZDは弱含みやすい。発表後には、当局の説明(ブリーフィング)が行われることが多い。
次に注目する点
現在の主要材料は、両国のインフレ見通しの差だ。豪州の2026年1-3月期のインフレ率は3.8%と高止まりしている一方、ニュージーランドは3.1%まで鈍化している。これは、RBAの方がRBNZよりも引き締め姿勢(タカ派=利下げに慎重で、必要なら利上げも辞さない考え)を維持する理由が大きいことを示す。
エネルギー市場は、OPECプラス(OPEC加盟国とロシアなど協調減産を行う産油国連合)の継続的な減産の影響を受けている。供給を絞る動きが原油価格の下支えとなり、豪州の物価が下がりにくい状況につながっている。このためRBAは、金融政策を緩める(利下げなど)余地が小さい。
こうした差を踏まえると、今後数週間で金利差(豪州とニュージーランドの金利の開き)は豪ドルに有利な方向へ動きやすい。デリバティブ(金融派生商品。原資産の価格に連動する取引)を使う投資家は、AUD/NZDのコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を検討する価値がある。満期(期限)は2026年6月または7月が候補となる。この手法は上昇局面を狙いつつ、最大損失(支払ったオプション料=プレミアム)を限定できる。
足元のインプライド・ボラティリティ(市場が見込む将来の値動きの大きさ。オプション価格に反映)は中程度で、プレミアムは過度に割高ではない。中銀の政策がより明確に分かれていく前に、買い持ち(ロング)を組成する入り口としては相対的に有利といえる。緩やかな上昇を取りにいく構成も可能だ。
短期的には、次回の豪州CPI(消費者物価指数。物価の代表的指標)と、RBA会合議事要旨(会合での議論の概要)を確認材料として注視する。豪州で物価圧力の根強さを示すデータが出れば、AUD/NZD上昇のきっかけになりやすい。今後数週間のポジション調整はこの点が主軸となる。