銀は水曜日のアジア時間に週次の高値を更新し、米ドルが広く下落する中で77.00ドルを上回った。ドル建て商品(米ドルで価格が付く商品)の買い材料となり、XAG/USD(銀の対米ドル相場)も支えられた。
火曜日、米国のドナルド・トランプ大統領は、イランがホルムズ海峡(中東の主要な海上輸送路)を完全に再開する場合、計画していた対イラン軍事攻撃を2週間停止すると述べた。イランは2週間の停戦を受け入れたとし、協議は金曜日にパキスタンのイスラマバードで開始される予定だ。
ホルムズ情勢を受けた市場の反応
イラン外相は、ホルムズ海峡での安全な通航が2週間確保されると述べ、これを受けて原油価格が下落した。原油安はインフレ(物価上昇)懸念を和らげ、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ観測(政策金利の引き上げ見通し)を後退させた。これが米ドルの重しとなり、銀に追い風となった。
報道では、上昇後の追加の買い(続伸を支える買い)が乏しい点が指摘され、短期的な上値を抑える可能性がある。銀は利息を生まない資産(保有しても金利収入が得られない資産)であり、金利見通しが低下すると買われやすい。
より広い視点では、銀価格は地政学、景気後退懸念、米ドルの動き、ETF(上場投資信託)からの需要、鉱山供給、リサイクル供給の影響を受ける。電子機器や太陽光発電での工業用途が需要を左右し、銀は金の値動きに連動しやすい。金銀比率(ゴールド/シルバー比率、金価格を銀価格で割った指標)は相対的な割安・割高の比較に使われる。
現在の状況と昨年の比較
昨年のような外交面の安心感とは異なり、現在は米ドルが底堅い。DXY指数(主要通貨に対する米ドルの強さを示す指標)は106を上回って推移しており、他地域の地政学不安が改めて意識されている。FRBは「高金利の長期化」(利下げを急がず高い金利を維持する方針)を示し、最新のCPI(消費者物価指数)ではコアインフレ(食品・エネルギーを除いた物価上昇率)がなお3.1%付近にとどまっている。こうしたタカ派(金融引き締め寄り)の政策は米ドルを下支えしやすく、銀には逆風となりやすい。
それでも、銀の工業需要は堅調だ。IEA(国際エネルギー機関)の最近の報告によれば、世界の太陽光パネル導入は前年比15%増となり、EV(電気自動車)向け需要も予測を上回った。こうした実需の強さは価格の下支え(下値の堅さ)になりやすい。