EUR/USDは水曜のアジア早朝にかけて約1.1670まで上昇し、1.1650を上回った。米国のドナルド・トランプ大統領がイランとの「2週間の停戦」(一定期間、軍事行動を止める合意)に同意したことで、ユーロは米ドルに対して強含んだ。
ホワイトハウス当局者によると、トランプ氏は火曜日、イランがホルムズ海峡(中東産原油の主要輸送ルート)を再開することを条件に、2週間の停戦に同意した。CNNは、イスラエルも停戦に同意したと報じた。
停戦の進展と市場の焦点
今回の発表は、パキスタンのシェバズ・シャリフ首相が、米国とイランの外交協議を可能にする停戦を提案した流れを受けたもの。市場は停戦の行方と、中東全体の緊張の高まりを注視している。
水曜後半は、米連邦公開市場委員会(FOMC、米国の金融政策を決める会合)の議事要旨に注目が移る。議事要旨は、中東の衝突に伴うエネルギー供給不安による「エネルギーショック」(原油などの価格が急変し、景気や物価に影響する状態)を当局がどう評価しているか、手がかりを与える可能性がある。
ポジションと変動率への示唆
昨年の教訓は、外交面の前進が「ボラティリティ(価格変動の大きさ)」を急低下させても、一時的に終わりやすい点にある。現在、EUR/USDオプション(将来の売買権利を取引する金融商品)の「1カ月物インプライド・ボラティリティ」(市場が織り込む将来の変動率)は約8.2%と、短期的な緊張緩和局面で見られた約5.5%の低水準から大きく上昇している。トレーダーは、相場が上下どちらにも大きく動く可能性に備え、「ストラドル」(同じ権利行使価格でコール=買う権利とプット=売る権利を同時に買う)や「ストラングル」(異なる権利行使価格でコールとプットを同時に買う)などの戦略でオプションを購入することを検討し得る。
昨年は米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)がエネルギーショックを注視していたが、その後の焦点は国内のインフレ(物価上昇)と雇用指標に戻っている。米国の2026年2月のインフレ指標は2.8%となり、FRBの目標をなお上回っているため、金融緩和(利下げなど景気を支える政策)に動きにくい。一方、欧州中央銀行(ECB、ユーロ圏の中央銀行)はエネルギー価格の振れにより影響を受けやすく、金融政策の方向性の違いがユーロの重しになり得る。
以上を踏まえると、一時的な和平関連ヘッドラインによるEUR/USDの上昇局面は、戻り売り(上昇したところで売る)が妥当な戦略とみられる。昨年の1.1670への急伸は、強いリスク選好(投資家がリスク資産を買いやすい状態)の極端な例として参照できる。また、ユーロの「コール・クレジット・スプレッド」(高い行使価格のコールを売り、さらに上の行使価格のコールを買って損失を限定しつつプレミアム=受取金を得る戦略)は、短期的な安心感による上振れに備えながら収益機会を狙う手段となり得る。