労働統計と賃金動向
3月の賃金の伸びは鈍化し、平均時給は前月比+0.2%と、予想の+0.3%および前回の+0.4%を下回りました。前年比では+3.5%と、予想の+3.7%および前回の+3.8%を下回りました。 統計を受けて市場は金利見通しを調整し、CMEのFedWatchでは2026年まで政策金利が据え置かれるとの織り込みが示されていました。加えて、中国の3月製造業PMIにも注目が集まり、同PMIは49から50.4へ上昇して予想の50.1を上回りました。中国との貿易関係の深さから、豪ドルと関連づけて意識されやすい指標でした。 想定以上に強い米雇用統計は米ドルに追い風となったものの、内容はより複雑でした。前月分の大幅な下方改定と賃金伸びの鈍化は、ヘッドラインが示すほど労働市場が過熱していない可能性を示唆していました。こうした強弱まじりのシグナルと、祝日で薄商いの環境が重なり、初動の動きが持続しない可能性も示されていました。 市場では、FRBが2026年まで金利を据え置くとの見方が改めて補強されているとみられ、直近のデータもこれを後押ししていました。たとえばコアCPIは高止まりが続き、2026年2月の最新公表では前年比3.9%となっていました。インフレの粘着性は利下げ判断を難しくし、短期的に米ドルの下値を支える要因となっていました。中国要因が豪ドルを下支え
一方で豪ドルは、中国景気に持ち直しの兆しがみられることから下支えされていました。中国の製造業指標が予想を上回ったことは大きなポジティブ要因であり、鉄鉱石価格が1トン当たり115ドル超で安定していることもコモディティ市場で反映されていました。最大の貿易相手国からのファンダメンタルズ面の支援は、豪ドルの急落を抑える要因となり得ました。 こうした相反する材料を踏まえると、今後数週間のAUD/USDはレンジ相場にとどまる可能性が高いとみられていました。この場合、ボラティリティ売りが選択肢となり、0.6800と0.7050近辺にストライクを置いたアイアン・コンドルなどで方向感の乏しさを収益化する戦略が考えられていました。CboeのFXボラティリティ指数はじり高となっており、これらのポジションで相応のプレミアム獲得が見込める状況でした。 2025年7-9月期にも類似の局面があり、強い米指標がグローバルなリスク選好の改善に相殺される形で、AUD/USDは1カ月超にわたり約2セントの狭いレンジにとどまり、オプションの売り手が収益機会を得た経緯がありました。主要通貨で複数のファンダメンタル要因が拮抗する局面では、明確なトレンドが出にくいことが示唆されていました。 したがって、米ドルが強含んでいるように見えても、AUD/USDの単純なショートはリスクが高い局面でした。プット購入によるロングのヘッジや、一定の価格帯での推移から利益を狙うスプレッド構築など、オプションでリスクを限定するアプローチが望まれていました。薄商いで生じた急変動は、来週に流動性が戻るまでは慎重に見極める必要がありました。トレーディングを始めましょう – ここをクリックしてVT Markets口座を開設