カナダドルは米ドルに対して14カ月ぶりの安値を更新した。中東情勢の緊張で原油相場が下支えされているにもかかわらず、米ドルは直近7週間のうち6週間で上昇して終える流れが続いている。長らく維持されてきた「ルーニー(カナダドル)と原油」の連動は反転し、日次変動のローリング相関はここ数カ月でマイナスに転じた。むしろ影響力を増しているのは金を通じた商品要因である。カナダは金地金の産出国であるため、金価格が6週連続で下落し、直近の最高値を大きく下回ったことで、通貨が一段と弱含みやすくなっている。
金融政策の方向性の違いも重しとなる。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を3.75%で据え置きつつドットチャートを上方に修正し、市場では2026年の追加利上げの可能性も織り込まれている。一方、カナダ銀行(BOC)は2.25%で据え置き、様子見姿勢を継続している。注目は月曜12:30(GMT)発表のカナダ5月CPI(インフレ率は3%近辺)と、火曜のマクレム総裁発言。米国では木曜12:30(GMT)に1-3月期GDP(第3次推計)と5月PCEが公表され、コアPCEは前月比0.3%が予想される。USD/CADは1.4200を試す展開で、上値メドは1.4250、1.4300。下値は1.4100、1.4050がサポートで、1.4000が重要な節目となる。ストキャスRSIは急上昇後で買われ過ぎ圏にある。
Breakdown Of CAD’s Changing Commodity And Rate Drivers
我々は、カナダドルを原油価格に結び付ける従来の定石をいったん脇に置く。WTI原油が1バレル=85ドル超で底堅く推移してもルーニーは弱く、伝統的な関係は当面機能していないことを示している。焦点は、米国との金利差拡大と金価格へと移っている。
通貨の新たなアンカーは金になりつつあり、これが大きな逆風となっている。COMEX金先物が数週間にわたる下落の後、1オンス=2,285ドル近辺で引けていることを踏まえると、ルーニーへの下押し圧力は続くとみる。したがって、金地金の方向性はカナダドル戦略における重要な先行指標となる。
弱気スタンスの最大の根拠は、BOCとFRBの政策ギャップ拡大である。米国とカナダの2年国債利回り格差は150bp超へと拡大し、1年以上で最大の開きとなった。この金利差は米ドル保有の魅力を高め、USD/CADを一段と押し上げる要因になりやすい。
Positioning, Trading Strategies And Upcoming Data
同様の見方は広がっている。最新のCFTCデータでは、投機筋のカナダドルのネットショートが6万枚超へ膨らんだ。偏ったポジションは、短期的に1.4100方向への急な巻き戻し(反落)を誘発し得るため注意が必要で、こうした押し目は新規の弱気ポジション構築の機会となり得る。デリバティブ取引では、USD/CADのコール買い、または1.4250方向の上昇で収益化を狙うコールスプレッドの構築が選択肢となる。
来週の重要イベントは、月曜のカナダCPIと木曜の米PCEインフレ指標である。カナダのインフレが予想外に強ければルーニーが一時的に跳ねる可能性はあるが、より影響が大きいのは米PCEとみる。コアPCEが予想通り強めに出ればFRBのタカ派スタンスが補強され、USD/CADが1.4200のレジスタンスを上抜けるきっかけになる可能性が高い。
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