スイスフランは週末時点で主要通貨の中で最も弱く、3月上旬の紛争局面では持続的な「安全資産」としての支えが乏しかったにもかかわらず、USD/CHFは年初来高値を更新した。フランは対ユーロで10年以上ぶりの高値を一時付けた後に反落。スイス国立銀行(SNB)が介入に言及する一方、米ドルが安全資産需要と金利面で優位となったことが背景だ。3月下旬には、スイスのインフレ率がほぼゼロで引き締め圧力が弱いなか、SNBがフラン高抑制のためフラン売りを継続し、フランは対ドルで数カ月ぶり安値圏に戻った。
その後SNBは政策金利を0%に据え置き、短期のインフレ見通しをわずかに引き上げた一方、フラン高への抵抗姿勢について「必要なら(if necessary)」という但し書きを加えて表現をやや後退させた。市場は、3月に約30億ドル相当のフラン売りがあったとの報道もいったん織り込み、ボラティリティ低下を背景にフランが資金調達通貨(ファンディング)として使われやすい点に注目した。スイスで金曜に開始予定だった協議は、レバノンでのイスラエルとヒズボラの戦闘再燃により、わずか2日で延期された。テクニカル面では、USD/CHFが0.7950近辺の200日EMAを上抜け、0.8000および50日EMAを突破。ストキャスティクスRSIは80超を維持している。上値抵抗は0.8100、次いで0.8150。下値支持は0.8000、0.7950、そして0.7900近辺に位置する。
スイスフラン安の要因とキャリートレードの力学
主因は、SNBがフラン安を黙認している点にあるとみる。スイスのインフレ率は直近で前年比0.4%にとどまり、SNBが0%の政策金利を放棄する理由は乏しい。これは、2.5%超で維持されている米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利と対照的で、ドルには大きな金利優位が生じている。
この金利差により、フランはキャリートレードにおける「資金調達通貨」として最適になっている。市場のボラティリティが低下するほどキャリーは魅力を増し、恐怖指数の代表格であるVIXは今四半期で初めて15を下回った。歴史的にこの水準は、低金利通貨で借りて高金利通貨に投資する行動を促しやすい。2008年以前に日本円が同様の役割を担っていた局面を想起させる典型的な構図だ。
USD/CHFにおけるオプション戦略とリスク管理
過熱感から短期的な押し戻しが起こり得るため、実行手段としてはオプション市場の活用が最適と考える。具体的には、権利行使価格0.8100近辺のUSD/CHFコールオプションを買い、満期は2026年7月末〜8月を想定する。この戦略なら、上昇継続からの収益機会を狙いつつ、最大損失を支払ったプレミアムに限定できる。
最大のリスクは和平合意の全面崩壊であり、レバノンでの最近の戦闘はその現実味を高めている。安全資産需要が再燃するようなエスカレーションの兆候がないか、ヘッドラインを注視する必要がある。慎重なヘッジとしては、重要サポートである0.7950を下回る行使価格のアウト・オブ・ザ・マネーのUSD/CHFプットオプションを少量保有することが考えられる。
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