ルピーは木曜日、前日の堅調な取引を受けた後も対米ドルで小動きとなり、USD/INRは95.72近辺で推移した。インドが政府債への外国ポートフォリオ投資に対するキャピタルゲイン課税の撤廃を承認したことが材料視される一方、相場は大きく動かなかった。今回の政策措置は海外資金流入を支援する狙いがある。株式では、海外機関投資家(FII)が月曜日に5,616.56億ルピーを売り越し、6月のこれまでの3営業日すべてで外国人投資家は売り越しとなっている。
地政学とエネルギー情勢も引き続き焦点となった。ドナルド・トランプ氏は、イランが核兵器の追求を行わないことで合意したと述べ、最高指導者として「モジュタバ・ハメネイ師」に言及し、協議に関与しているとした。また、今週にもホルムズ海峡の再開につながり得る覚書(MoU)の可能性に触れる一方、米国によるイランの海上港封鎖は9月7日のレイバー・デーまで続き得ると警告した。インド午後の取引では、MCX原油は9,120近辺で1.2%安で始まったが、水曜日につけた直近10日高値の9,290に近い水準にとどまった。市場は金曜日のRBI(インド準備銀行)決定も待ち構えており、レポ金利は5.25%で据え置きとの見方が優勢。また、FRBの判断材料となる米5月の非農業部門雇用者数(NFP)にも注目が集まる。テクニカル面では、USD/INRは20日EMA(95.47)を上回って推移し、RSIは54.8程度。上値抵抗は96.65と97.09、下値支持は95.00および94.00近辺が意識される。
海外投資フローとルピー心理
USD/INRは95.72近辺で底堅く推移しており、市場が重要イベントを前に様子見姿勢に入っていることを示唆している。インド政府が海外勢の債券投資に対するキャピタルゲイン税を撤廃したのは、海外資金を呼び込むうえで前向きな一手だ。ただし、海外ポートフォリオ投資家(FPI)は大幅な売り越しが続いており、直近四半期でインド株式から35億ドル超を引き揚げた。この新たな政策は、そうした流れの反転を狙うものといえる。
FIIの継続的な売り圧力は、足元のルピー安の主要因となってきた。国立証券保管機関(NSDL)のデータも、投資家が米国資産へ安全志向を強めるなかで、新興国全体で資金流出が続く傾向を裏付けている。税制上の優遇は歓迎すべき措置であるものの、強い投資家心理を直ちに反転させるには単独では不十分となる可能性がある。
イランを巡る地政学リスクは、ルピーにとって依然として大きな逆風だ。インドは原油の純輸入国であり、経常収支赤字(CAD)は原油価格に対して非常に敏感である。歴史的には、原油価格が1バレル当たり10ドル上昇すると赤字はGDP比でおよそ0.4%拡大するとされる。米・イラン交渉が不調に終わり原油高が長期化すれば、INRの上昇余地は抑えられやすい。
主要イベントリスクとトレーディング戦略
金曜日にかけて、市場変動を大きくし得る2つの主要イベントが控えている。RBIはレポ金利を5.25%で据え置く見通しだが、注目は声明や会見におけるインフレ認識の変化である。想定以上にタカ派的なトーンが示されれば、短期的には通貨を下支えする可能性がある。
同時に、米国のNFPはドルの方向性を決定づける重要指標となる。雇用統計が強ければ、FRBが現行スタンスを維持する根拠が強まり、ドル高・ルピー安圧力につながりやすい。2024年末にも、米経済指標の強さを受けてドル指数(DXY)が急伸し、新興国通貨全般に影響が及んだ局面があった。
不確実性が高いことから、トレーダーにはボラティリティのブレイクアウトに備えるよう促したい。例えば、同一行使価格のコールとプットを同時に買うロング・ストラドルといったデリバティブ戦略は、金曜日のニュースを受けて相場が上下いずれかに大きく動いた場合に有効となり得る。
具体的には、前述の主要テクニカル水準を監視している。96.65の上値抵抗を上抜ければ、史上最高値方向への急伸につながる可能性がある一方、20日EMAの支持線95.47を下抜ければ、より深い調整局面が開ける恐れがある。次の方向性を捉えるため、これらの水準を意識してオプション戦略を組み立てることが推奨される。
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