原油価格は、中東情勢に引き続き左右されている。ホルムズ海峡を通過する供給フローの混乱が続いており、足元の供給環境はタイトなままだ。市場は米国とイランの交渉にも注目しているが、地域からの出荷が持続的に正常化していないことから、フロー回復は緩慢かつ段階的になるとの見方が優勢で、第3四半期にかけて価格は一段高のリスクにさらされやすい。
米国では、EIA(エネルギー情報局)の週間統計で、先週の商業用原油在庫が797万バレル減少し、過去約1カ月半の累計取り崩しは3,200万バレルに達した。季節要因として製油所稼働の上昇は在庫を押し下げやすいが、直近の減少ペースは例年より速い。戦略石油備蓄(SPR)からの放出分も含めると、総原油在庫は週次で1,597万バレル減少した。
ホルムズ海峡の混乱と在庫減少がもたらす上昇圧力
当社は、ホルムズ海峡での混乱継続を背景に、原油価格には強い上昇圧力がかかっているとみる。英国の海事商業オペレーション(UKMTO)の最新報告では、タンカー航行に対する脅威が継続していることが確認され、エネルギーフローが短期間で平常運転に戻るとの見通しには重大な疑義が生じている。こうした地政学的不確実性が、市場の供給面を一段と引き締めている。
最新のEIA統計も強気見通しを補強しており、米原油在庫は820万バレル減少した。これは6月第1週の5年平均の取り崩し幅のほぼ2倍で、需給が平時より速いペースでタイト化していることを示唆する。SPR放出分を合わせてみれば、在庫減少はさらに顕著となり、供給ショックに備える「クッション」が縮小している。
市場のボラティリティ上昇下、価格急騰に備えたポジショニング
以上を踏まえ、当社は第3四半期に向けて、トレーダーは上値を意識したポジション構築が望ましいと考える。ブレント原油の8月・9月限について、行使価格100〜105ドル近辺のコールオプションを買う戦略は、価格急騰局面で収益機会を得る直接的な手段となる。需給は引き締まりつつあり、中東での緊張が一段と高まれば、価格は急伸し得る。
一方でボラティリティも上昇している。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)は38まで上昇し、オプション・プレミアムを押し上げている。コスト増に対応するには、ブル・コール・スプレッドの活用が考えられる。上昇余地(利益)は限定されるものの、支払プレミアムを大幅に抑えられ、不確実性の高い環境下でも上方向への参加とリスクの限定を両立できる。
この状況は、サウジアラビアの施設が攻撃され原油価格が急騰した2019年後半の供給ショックを想起させる。足元は当時より市場のタイト感が強く、同様の事象が起きれば影響はより大きくなり得る。仮に安定回復の合意が成立しても、原油フローの回復は緩やかで段階的になる可能性が高く、夏場を通じて在庫の取り崩しが続く公算が大きい。
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