ECB・FRBの政策格差と中東情勢の緊迫化で上値抑制、ユーロ/ドルは1週間ぶり安値圏で横ばい

    by VT Markets
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    Jun 4, 2026

    EUR/USDは欧州時間序盤こそ小幅に上昇したものの、買いの勢いは続かず、木曜日早朝に付けた1週間ぶり安値近辺にとどまった。米ドルは前夜、4月7日以来の高値まで上昇した後に軟化し、これが重しとなって、同通貨ペアは1.1600を上回る水準で推移、上げ幅は日中で0.10%強にとどまった。イスラエルとレバノンの停戦によりドルの安全資産需要が後退し、利益確定の動きが促された。

    ユーロは、欧州中央銀行(ECB)が今月後半に利上げを実施するとの市場織り込みが強まったことから下支えされた。一方、テヘランの核開発計画やホルムズ海峡を含む問題を巡る米国とイランの緊張、中東での戦闘再燃、外交協議の進展欠如により地政学リスクは高止まりした。この環境に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な見通しが重なり、ドルの下値は限定され、EUR/USDの上値も抑えられた。

    原油高はインフレ懸念を維持し、年末にかけて米国の借入コストが一段と上昇するとの見方を強めたことで、ドルに対する積極的な弱気ポジション構築は手控えられた。市場の関心は米新規失業保険申請件数とFOMCメンバーの発言に向かうが、短期的に最大の材料は金曜日の米非農業部門雇用者数(NFP)となる。

    中央銀行の方向性の違いと地政学テーマがEUR/USDをレンジ内に押しとどめる

    足元ではEUR/USDが明確な方向感を得られず、本日は1.1050近辺をわずかに上回る水準でもみ合っている。最大の材料は中央銀行の見通しの乖離だ。市場はFRBが政策金利を据え置くと織り込む一方、ECBは年末までの利下げの可能性を示唆している。

    地政学的緊張の再燃は米ドルの下支えとなり、EUR/USDの大幅な上昇を抑制している。ホルムズ海峡周辺での海運混乱を示す報道を受け、ブレント原油は1バレル=95ドル近辺へ再び上昇し、ドルの安全資産としての魅力を押し上げた。こうした状況は、地政学リスクの高まりが一貫して質への逃避を招いてきた過去のボラティリティ局面を想起させる。

    FRBの慎重姿勢は根強いインフレによって補強されている。直近(5月)の米CPIは3.1%と、予想を小幅に上回った。こうした中、経済の強さを見極める手がかりとして、あすのNFPに注目が集まる。雇用統計が強い内容となれば、2026年のFRB利下げ観測が後退し、ドル高要因となる公算が大きい。

    対照的にユーロ圏では景気の疲れが見え始めている。ドイツの最新の鉱工業生産は前月、予想外に0.5%減となった。こうした弱さは、成長下支えのためにECB当局者が緩和に傾きやすいとの見方を裏付ける。堅調なFRBと軟化するECBの政策スタンスの差が拡大しており、今後数週間の主要テーマとなる。

    政策格差拡大を受けたドル高局面を想定したポジショニング

    この環境下では、EUR/USDが上値抵抗の1.1100に向けて反発する局面は、弱気ポジションを構築する好機になり得るとみている。デリバティブ投資家にとっては、アウト・オブ・ザ・マネーのコール売り、またはベア・コール・スプレッドの構築が、上値が抑えられるとの見通しを踏まえた妥当な戦略となり得る。主要指標の発表を控える中で、リスクを限定しつつレンジ相場からの収益機会を狙える。

    同様のパターンは過去にも見られた。とりわけ2022〜2023年には、FRBの急速な利上げ局面が強いドル高をもたらした。米欧の政策経路の乖離がこれほど大きい局面では、ドルが相対的に優位になりやすいという歴史的な前例がある。今夏にかけて、より緩やかなものの、同様の力学が進行すると見込み、そうしたシナリオに沿ってポジションを構築している。

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