豪ドルは水曜日、米ドルに対して約0.70%下落し、日中高値が0.7181近辺となった後、AUD/USDは0.7128まで押し下げられた。ホルムズ海峡周辺で米国とイランの攻撃が再燃し、ドルへの逃避需要(安全資産需要)が高まったことが背景。米中央軍(CENTCOM)は、ミサイル発射拠点や機雷敷設を準備しているとされるイランのボートを攻撃したほか、ケシュム島も標的にしたと発表した。これに先立ちイランは、クウェート、UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビアにおける米国資産への攻撃を含む反撃を実施していた。
米経済指標は底堅い内容を維持した。ADP民間雇用者数は5月に12.2万人増と、市場予想(11.7万人増)を上回り、JOLTS求人件数も増加。ISM非製造業(サービス)PMIは53.6から54.5へ上昇し、支払価格指数(Prices Paid)は70.7から71.3へ小幅に上昇した。一方、豪州では2026年1-3月期GDP成長率が前期比0.3%と、前回の0.9%から減速し、予想(0.5%)も下回った。市場は4月の貿易収支と、豪準備銀行(RBA)のミシェル・ブロック総裁の講演に注目している。テクニカル面ではAUD/USDは0.7130近辺で推移し、下値支持は0.7117および0.7111、上値抵抗は0.7158近辺。RSI(14)は40台半ばへじり安となっている。
地政学リスクとマクロ経済の乖離の影響
ホルムズ海峡での攻撃を受けた「質への逃避」により、米ドルは豪ドルのようなリスク感応度の高い通貨に対して大きく強含むとみる。これは短期的な反応にとどまらず、歴史的に中東の緊張が長期化すると資金が米国資産へ流入する傾向が一貫して確認されてきた。したがって、今後数週間は米ドル高が続く前提でポジションを構築すべきだろう。
ファンダメンタルズはAUD/USDの下落(豪ドル安・米ドル高)を強く支持しており、両国経済の乖離が拡大している。直近のADP雇用統計やISMサービス部門の価格上昇は、FRBに利下げを急ぐ理由が乏しいことを示唆する。実際、一部当局者は金融政策が「やや緩い」との見方も示している。一方で豪州のGDP成長率0.3%は、この外部ショック以前から景気の勢いが弱まりつつあったことを示す。
豪ドルの重しとなるのが中国要因だ。豪ドルは中国との連動性が高いが、中国景気には脆さがみられる。中国の直近の公式製造業PMIは49.5と、景気判断の分岐点である50を下回り、製造業活動の収縮を示した。これは、鉄鉱石など豪州の主要輸出品需要に直結する。鉄鉱石価格が1トン=105ドルを上回って推移しにくい状況にあり、豪ドルにとって追加の逆風となる。
トレーディング戦略とテクニカル見通し
トレーディングの観点では、地政学的な不確実性の高まりはボラティリティ上昇を意味する。CBOEボラティリティ指数(VIX)はすでに15近辺へ上昇しており、市場の不安心理の拡大を映している。こうした局面では、値動きに伴ってプレミアムが膨らみやすいオプション戦略の有効性が高い。
AUD/USDは下方向への抵抗が最も小さい(下落しやすい)と判断し、デリバティブはその見通しを具体化する明確な手段となる。重要な下値支持である0.7111を下回るブレイクに備え、同水準を下回る行使価格のプット買いを検討すべきだろう。弱気のプットスプレッドを用いれば、リスクを限定しつつ、エントリーコスト(支払プレミアム)を抑えることも可能だ。
テクニカルチャートでは、足元の値動きが圧縮されており、金曜日の米雇用統計(非農業部門雇用者数、NFP)やイランを巡る新たなヘッドラインをきっかけに急変動が生じる可能性がある。基本スタンスは弱気だが、どちら方向にも大きく放れた際の値幅を狙うロング・ストラドルのようなボラティリティ戦略も選択肢となる。ただし、0.7158近辺の上値抵抗に向けた戻りは、新規のショートを構築する機会とみている。
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