ドル円は160円台に回帰、過去最大規模の円買い介入の効果薄れ 日銀利上げ観測が強まる

    by VT Markets
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    Jun 3, 2026

    USD/JPY(ドル/円)は、財務省と日銀による為替介入が行われたにもかかわらず、米金利の上昇と中東情勢の緊張再燃を背景にドルが支えられ、再び160円台に戻した。介入額は単月として過去最大の11.7兆円に達したが、4月30日および5月6日に実施された可能性が高い一連のオペ以降で初めて、同通貨ペアは再び160円水準を回復した。今回の局面は、介入の持続性がより広範なマクロ環境に左右されること、そしてその環境がなお円に有利な方向へは転じていないことを示している。

    原油動向がリスク要因として再浮上している。原油は介入期間後に下落していたものの、足元では再び上昇基調に転じ、紛争のエスカレーションによってホルムズ海峡の短期的な再開(正常化)への見通しにも疑義が生じている。金利見通しも変化している。6月16日の利上げを巡るOIS(翌日物金利スワップ)の織り込みは、介入後に約5〜6bp上昇し、利上げ確率は足元で80%を超え、4月中旬以来の高水準となった。日銀の利上げは見込まれており、米金利がなおドル/円を押し上げ得る一方、引き締め方向への政策修正が上値余地を「数円程度」にとどめるとの見方が示されている。

    介入効果と変化するマクロ環境

    4月下旬から5月上旬にかけての日本当局による過去最大規模の介入は効果が一時的にとどまり、ドル/円はすでに160円近辺へ戻している。背景にはファンダメンタルズの構図が変わっていないことがあり、米国債利回りの高止まりがドルの強さを維持させている。5月の米インフレ指標では、コアCPIが年率換算で3.6%と横ばいとなり、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを急がないとの見方を補強した。

    市場は介入を織り込み済みとして、支援材料を日銀に求める動きが強まっている。6月中旬の日銀会合での利上げ観測は大きく高まっている。きょう2026年6月3日時点で、OISは少なくとも10bpの利上げ確率を85%と織り込んでおり、1カ月前の40%から急上昇した。

    ドル/円の取引示唆と戦略

    デリバティブ取引の観点では、ドル/円の一段高余地は限定的と示唆される。日銀利上げ観測が強いことが上値の「天井」となり、今後数週間で160〜161円レンジを明確に上抜けて定着するシナリオに賭けるのはリスクが高い。想定される上値抑制を収益機会とするには、ドル/円のコール売り、あるいは弱気のコール・スプレッド(ベア・コール・スプレッド)の構築が選択肢となり得る。

    過去を振り返ると、2024年3月の日銀による歴史的な初回利上げ後も円安基調は続いたが、中銀のトーン変化が最終的にはドルのモメンタムを鈍化させた。同様に今回も、日銀の「確度の高い行動(利上げ)」が確認されれば、その後の上昇局面は抑制される公算が大きい。この場合、足元で3カ月ぶり高水準の11.2%近辺にあるドル/円のインプライド・ボラティリティは、6月会合後に低下に向かう可能性がある。

    この見方に対する最大のリスクは、日銀が金利据え置きでハト派的なサプライズをもたらすケースである。その場合、ドル/円は急騰する可能性が高い。ヘッジとしては、権利行使価格162円近辺の安価な短期コールを一定量保有しておくことが、慎重な対応となり得る。

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