底堅い米国の成長と粘着的なPCEインフレにより、米・イラン合意に向けた進展でリスクセンチメントが改善する中でも、ドルは下支えられている。ドル指数(DXY)は約1年にわたり96.00~100.00のレンジで推移してきた一方、総合PCE・コアPCEインフレはいずれもFOMCが2026年に見込む2.7%を上回って推移している。コアサービス(住宅を除く)PCEは4月に前年比3.5%と2カ月連続で同水準となり、FRBの2.0%目標への回帰と整合的なペースを大きく上回ったままだ。
アトランタ連銀のGDPNowによるQ2成長率見通しは年率換算で3.8%へと低下し(5月21日時点の4.3%から下方修正)、それでもトレンドを上回る拡大を示唆している。5月のPMIも、米国の成長優位が同業他国に対して拡大している可能性を示している。別途、米・イラン合意が近いとの報道がリスク資産のラリーを促し、枠組みには停戦の60日延長およびホルムズ海峡の再開が含まれるとされている。
Dollar Outlook Amid Strong US Macro Data
米国経済の強さを踏まえると、ドル指数(DXY)は今後数週間で長年の上限である100.00を上抜ける公算が大きいとみる。きょう2026年5月29日時点でDXYは99.85近辺で推移しており、レンジ上限を試している。米国経済の持続的な相対的優位が強い追い風となっており、地政学リスクの緩和だけでは相殺しきれない。
FRBは頑固なインフレの前に身動きが取りにくく、これがドル高を支える。最新データでは、FRBが重視するインフレ指標であるコアPCEが4月に前年比3.1%となり、2.0%目標を大きく上回るだけでなく、FRB自身の年内見通しである2.7%も上回った。短期的な利下げは極めて起こりにくく、SOFR先物では第3四半期まで金利が高止まりするシナリオに沿ったポジショニングを検討すべきだろう。
Policy, Positioning, and the Dollar’s Global Leadership
米国の成長は世界の同業他国を引き続き上回っており、ドルの優位性を補強している。アトランタ連銀のGDPNowモデルがQ2成長率見通しを3.8%へ引き下げた一方、S&Pグローバルの米国総合PMI(5月)は54.4と2年ぶり高水準となり、ユーロ圏の51.9と鮮明な対照をなした。この乖離は、ユーロに対するドル優位を狙うデリバティブ取引、例えばEUR/USDのプット購入といった戦略が妥当であることを示唆する。
歴史的に、米国経済の相対的優位とFRBのタカ派姿勢が同時に進む局面では、2022年に見られたような持続的なドル高局面につながりやすい。したがって、この上昇余地を捉えるために、DXYのコール・オプションやドル連動ETFのコール購入を検討したい。100.00の上抜けが実現すれば、102.50近辺へ急伸する可能性がある。
米・イラン合意に向けた進展はリスクセンチメントを改善させているものの、ドルにとっては二次的要因にとどまるとみる。このニュースに伴う一時的なドル安は、より有利な水準でロングを構築する機会と捉えたい。根底にある「高インフレ」と「力強い成長」という経済ファンダメンタルズが、ドル高の主要かつより持続的なドライバーである。
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