5月の東京都区部インフレが鈍化、ドル/円は160円近辺で推移し円キャリートレード再開観測強まる

    by VT Markets
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    May 29, 2026

    日本の総務省統計局によれば、5月の東京都区部インフレは鈍化し、東京都区部消費者物価指数(CPI)総合は前年比1.4%上昇と、前回の1.5%から低下した。生鮮食品を除く指数は前年比1.3%上昇で、予想の1.5%を下回り、4月の1.5%から伸びが鈍化した。生鮮食品およびエネルギーを除く指数は前年比1.6%上昇と、前回の1.9%から低下。発表後、ドル円(USD/JPY)は当日比0.17%安の159.25となった。

    発表前、市場では東京都区部CPIが円の短期的な最後の主要材料と位置づけられていた。4月下旬から5月上旬にかけて合計600億ドル超とされる2回の為替介入が報じられた後、ドル円は介入後の下落分のおよそ8割を取り戻し、160.00に近い159.20近辺で推移していた。4月のデータは、総合・生鮮除くともに前年比1.5%上昇、生鮮・エネルギー除くは前年比1.9%上昇で、市場予想の2.3%を下回り、2022年3月以来の低水準となった。日銀の2%目標を3カ月連続で下回ったことも注目された。ファンディング面では、FRBの目標レンジ(3.50%~3.75%)と日銀の政策金利(0.75%)の差がおよそ300bpとされ、テクニカルでは50期間EMAが158.50付近、200EMAが155.50近辺。発表前の短期値動きとしては、159.65から159.20程度へ軟化していた。

    Bank Of Japan Policy And Market Dynamics

    最新の東京都区部インフレは予想より弱い1.4%となり、日銀が6月に意味のある利上げを検討する理由は乏しいとみる。これは為替市場における既存の力学を補強する。ドル円は159.25近辺でもみ合い、過去に当局の行動を誘発してきた160.00水準から大きく離れていない。

    戦略の中核は、米国と日本の金利差に引き続き置かれる。現在その差は500bp超とされ、この大幅なギャップにより、円で調達して高金利の米ドル資産に投じる「キャリートレード」が収益機会となる。この金利差が続く限り、ドル円の自然な方向は上昇となる。

    したがって、ドル円の押し目は買い場と捉えるべきだと考える。市場の確信は、日銀が「政策正常化」を示唆する発言を続けても、インフレの大幅かつ持続的な上振れがない限り、実際の行動には移らないという点にある。この状況は、今後数週間にかけて円の一段安リスクを残す。

    Strategic Positioning And Risks

    もっとも、財務省による為替介入リスクには警戒が必要だ。2024年4~5月には、ドル円が160の節目を超えた局面で、合計9兆円超の介入が行われた。160は引き続き明確な一線であり、再び接近すれば口先警戒(けん制)が強まると見込まれる。

    デリバティブ戦略としては、想定されるじり高基調を取り込むためドル円のコールオプション購入が示唆される。介入による急落リスクを管理するには、コールスプレッドを用いて利益とプレミアムコストの双方に上限を設ける手段がある。また、介入主導の下振れ局面ではプット売りの準備を進め、より良い水準でトレンドに再参入する機会と位置づける。

    今後数週間は、日本と米国双方のインフレ指標が相場を左右する見通しだ。日本の賃金やインフレ指標が上振れサプライズとなることが、日銀のタイムラインを実質的に変え得る唯一の材料とみられる。それまでは、ドル円は上方向が最も抵抗の少ない展開が続く。

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