カナダドルは米ドルに対して堅調を維持している一方、他のG10通貨が上昇している。スコシアバンクは、この出遅れの要因としてカナダのリスクプロファイルと、カナダ銀行(BoC)と米連邦準備制度理事会(FRB)の政策スタンスの乖離拡大を挙げる。市場が「BoCはよりハト派、FRBはよりタカ派」として再評価する中、その影響が金利差に波及しているという。
テクニカル面では、USD/CADは上昇したものの上値抵抗に直面し、主要移動平均線周辺でモメンタムが低下していると同行。ファンダメンタルズに基づくバリュエーション・フレームワークでもカナダドルの割安が示唆されており、USD/CADのフェアバリューは1.3672と推計。足元はレンジ取引を見込みつつ、カナダの経済指標が予想を上回ればカナダドル反発の余地があるとしている。
政策の乖離と金利差
カナダドルの主因として、BoCとFRBの政策ギャップ拡大が挙げられる。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は、6月5日のBoC会合で利下げが実施される確率を85%織り込んでおり、政策の乖離は一段と鮮明化している。これに対し米国では、個人消費支出(PCE)デフレーターが2.8%となったことが、FRBが引き締め的スタンスを維持する根拠となっている。
この政策差を背景に、カナダと米国の2年国債利回り格差はマイナス70bpまで拡大し、2005年後半以来の水準となった。金利差の拡大はカナダドル保有の妙味を損ねる逆風となり、当面はこの力学がUSD/CADを高止まりさせる可能性が高い。
テクニカルの上値抵抗と取引戦略
もっとも、USD/CADの上昇モメンタムには明確に摩擦が生じており、1.3850のレジスタンスを上抜けて上昇を維持することに繰り返し失敗している。このテクニカル上の失速は、金利環境の追い風があるにもかかわらず、市場が一段高を追いにくいことを示唆する。モデル上でも、同ペアのファンダメンタルズに基づくフェアバリューは1.3672近辺で、カナダドルは足元で割安とみられる。
こうしたモメンタム鈍化を踏まえ、今後数週間の戦略としては、行使価格1.3900超のUSD/CADアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)コールの売りが有効と考えられる。強い上値抵抗によってレンジ相場が想定される局面でプレミアムを獲得しつつ、上昇が抑えられる限り時間価値の減少(タイム・ディケイ)による収益が見込める。
一方、カナダドルの想定外の反発に備えるヘッジとして、期先で相対的に安価なUSD/CADプットの買いにも妙味がある。雇用やインフレなど今後のカナダ経済指標が予想を上回れば、通貨はファンダメンタルズ水準へ向けて急速に上昇(=USD/CADは下落)する可能性がある。これは、カナダドル回復シナリオに低コストで備える手段となる。
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