ユーロは水曜日、対ドルで小幅高となり、1.1640近辺で推移した。週内高値圏の1.1650近辺をわずかに下回る水準での取引となった。欧州中央銀行(ECB)関係者がタカ派姿勢を強めたことが支援材料となった。理事のイザベル・シュナーベル氏は、インフレ上振れを「見過ごす」ことはもはやできないと述べ、6月の利上げが必要になるとの見方を示した。さらに、チーフ・エコノミストのフィリップ・レーン氏は日経に対し、追加的なフォワードガイダンスは不要との認識を示し、市場のタイト化観測にも落ち着いた姿勢を見せた。ドルの上昇は、米・イラン紛争の交渉による終結期待を市場が見極めるなか抑制された。原油価格が先週の高値から大きく下げた水準にとどまり、ユーロ圏の成長に対する短期的な下押し圧力が和らいだことも背景にある。
米国では、ダラス連銀のローリー・ローガン総裁が次の政策変更は「利上げにも利下げにもなり得る」と述べ、木曜日発表の個人消費支出(PCE)物価指数を前に政策金利ルートの不確実性を残した。テクニカル面では、EUR/USDは1.1638。10日間の水平レンジ上限の下で推移し、レンジ下限は1.1550〜1.1560付近。4時間足RSIは緩やかな強気モメンタムを示し、MACDはプラス圏を維持した。1.1660を上抜ければ1.1720、次いで1.1790が視野に入る。一方の下値支持は1.1615および1.1575で、これを割り込むと1.1505〜1.1525が意識される。
政策の乖離とインフレの基礎要因
ECBが6月の利上げを示唆する一方、米連邦準備制度理事会(FRB)はより慎重な姿勢を維持しており、両者の政策スタンスの乖離が鮮明になっている。この政策差が、直近のユーロ高の主因とみる。こうした環境は、向こう数週間のEUR/USDの「抵抗の少ない方向」が上方向であることを示唆する。
ユーロ圏のインフレは粘着的で、最新統計ではコアインフレ率が2.7%となり、利上げを正当化するタカ派材料となっている。一方、米国のPCE物価指数も直近で2.7%となり、FRBが忍耐強く構える余地を与えている。これらのファンダメンタルズは、ユーロが対ドルで上値余地を残しているとの見方を補強する。
トレーディング戦略、リスク、原油市場の背景
1.1660のレジスタンスを上抜ける可能性を踏まえ、EUR/USDのコールオプション買いを検討する。権利行使価格を1.1700近辺、満期を6月下旬とすることで、1.1720または1.1790に向けた上昇局面の取り込みを狙える。この戦略は上昇方向のエクスポージャーを得つつ、最大損失を支払プレミアムに限定できる。
最大のリスクは、木曜日の米PCE発表である。インフレが予想以上に強い結果となれば、ユーロの上昇が急速に巻き戻される可能性がある。リスク低減策としては、ブル・コール・スプレッド(コール買い+上の行使価格のコール売り)を用いることで、初期コストと損益分岐点を引き下げられる。
また、米・イランの和平合意観測は、原油価格を抑えることで追い風となっている。2022年のエネルギー価格急騰がユーロ圏景気を痛めた経緯がある。エネルギーコストの低下は欧州のインフレ圧力を和らげ、ユーロに追加の支援材料を提供する。
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