WTIは欧州市場の水曜日に約4%下落し、1バレル=88.90ドル前後となった。前日には3%超上昇していたが、市場は米・イラン和平合意に向けた進展の可能性を見極める動きとなり、上げ幅を打ち消した。米国がイラン南部で「自衛」を名目に空爆を実施したことを受けて楽観は後退。イラン革命防衛隊は、領空侵犯があったとして米軍のF-35戦闘機1機と複数のドローンを標的にしたと述べた。
イラン外務省は、ホルモズガーン州で火曜日早朝に行われた攻撃について、7週間前に成立した脆弱な停戦の「重大な違反」だと非難。4月の休戦を受けてホルムズ海峡の再開を目指す協議の先行きに疑念が生じた。サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)がドナルド・トランプ大統領に外交を優先するよう促しているとも報じられ、これ以上の緊張激化は地域全体で報復攻撃を招きかねないとの懸念が示された。マルコ・ルビオ米国務長官は最終合意まで数日を要する可能性があるとし、未解決の論点として、テヘランの凍結資産の解放や、イランがホルムズ海峡における無制限の海上通航を保証することに消極的な点などを挙げた。
原油市場のボラティリティ
足元のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は、中東情勢を巡る相反するヘッドラインに振り回され、価格変動が顕著となっている。本日(5月27日)の88.90ドル近辺への下落は、米・イラン合意の可能性に対する市場の感応度の高さを物語る。この値動きは、今後も見出し次第で急変しうる局面に備える必要があることを示唆している。
市場の神経質さは指数にも表れており、CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)は35を上回った。これはトレーダーが大きな価格変動に備えていることを示す水準だ。過去には、こうした高水準のボラティリティが、1週間で5%以上の値動きに先行するケースが多い。市場は「和平合意なら急落」「紛争再燃なら急騰」という二者択一の結果を織り込みつつあるとみられる。
地政学リスクと取引戦略
ホルムズ海峡の戦略的重要性は極めて大きい。同海峡は日量約2,100万バレル、すなわち世界消費の約21%に相当する原油が通過する要衝であり、閉鎖や軍事行動(直近の緊張激化が示唆するリスク)が現実化すれば、巨大かつ即時の供給ショックとなる。これが戦略上、最優先で意識すべきリスク要因である。
また、今回の地政学的緊張は供給バッファーが薄い局面で起きている。最新のEIA(米エネルギー情報局)データによれば、米国の原油在庫は5月下旬として過去5年平均を約3%下回る水準へと推移している。現物需給がタイトであれば、供給途絶の影響は増幅され、価格への波及もより迅速かつ大きくなる。ショックを吸収する余力が小さいためだ。
同様の局面は過去にも見られ、例えば2020年初頭には類似の緊張により原油価格が1日で4%超上昇した。軍事行動をきっかけに一夜で価格が飛ぶ「ギャップ・リスク」が現状の市場には内在しており、単純な方向性の賭けは現在とりわけ危険だ。
不確実性が高い以上、方向性ではなく「大きな値動き」そのものに備えるために、デリバティブを用いたポジション構築が望ましい。具体的には、USOまたはWTI先物を対象に、7月・8月期限のストラドルや、広めのストラングルの買いを検討する。和平合意での急落でも、紛争激化での急騰でも、想定する爆発的なボラティリティ上昇から収益機会を得られる戦略となる。
今すぐ取引を始めましょう — VT Marketsのリアル口座を開設するにはこちらをクリックしてください。