EUR/USDは火曜日も2日連続で方向感に乏しい展開となり、1.1645近辺でもみ合った。1.1624から反発したものの、1.1650超の上昇は維持できなかった。市場は米・イラン紛争の先行きについて、より明確な方向性を待つ中で、リスク選好は抑制された。イラン南部の軍事目標に対する新たな米国の攻撃が報じられたことでセンチメントが悪化する一方、テヘランとワシントンは戦争終結とホルムズ海峡の再開を含む提案を巡る協議を継続している。こうした背景は、米ドルの戻りを限定し、原油価格も100ドルを下回る水準にとどまった。
欧州では、ECBのフィリップ・レーン専務理事(チーフ・エコノミスト)が、市場が織り込む金利上昇について「違和感はない」としつつ、エネルギー価格にとどまらない間接的な影響にも言及した。これらの発言は、6月または7月の利上げ観測を補強した。火曜日後半には、米コンファレンス・ボードが5月消費者信頼感指数を公表し、ダラス連銀も製造業景況調査を発表する予定だが、市場の注目はFRBの金利見通しを占う材料として、木曜日のPCE物価指数に集まりやすい。
地政学的緊張とオプション・インプライド・ボラティリティ
当社は、EUR/USDが相反する力の間で挟み撃ちとなっており、目先の方向性に賭けるのはリスクが高いとみている。上値は地政学的緊張を背景に1.1650近辺で抑えられやすい。地政学リスクは一般に安全資産としての米ドルを押し上げるためだ。その結果、通貨のファンダメンタル要因がイベントリスクにかき消される難しい環境となっている。
イラン情勢は不確実性を大きく高めており、これはオプション価格形成の主要因となる。観測では、EUR/USDの1カ月インプライド・ボラティリティは今月初の6.5%の低水準から、すでに8.2%まで上昇しており、市場参加者が急変動に備えていることを示唆する。したがって、特にホルムズ海峡の状況が悪化し、原油が1バレル=100ドルを上抜けるリスクが意識される局面では、ストラドルなどを通じてボラティリティを買う戦略が有利となり得る。
金融政策の方向性の違いとイベント主導のトレーディング戦略
一方で、ECBのタカ派色が強まっていることはユーロの下値を支える。短期金利市場では、7月会合でECBが25bp利上げを行う確率が85%程度まで織り込まれており、通貨の大幅な下落余地を限定しやすい。より慎重になり得るFRBとの政策スタンスの乖離は、ファンダメンタルズ面からユーロを支援する。
週内最大のイベントは木曜日の米個人消費支出(PCE)であり、大きな材料になり得る。インフレ指標が予想を上回れば、FRBのより攻撃的な姿勢への織り込みが再燃し、米ドル高を通じて現在のレンジを放れる可能性がある。このイベントは結果が二極化しやすい性質を持つため、発表後の値動きを狙う手段として、短期オプションの活用を検討している。
以上の状況を踏まえ、当社はPCE発表後まで、明確な方向性を断定することに慎重である。過去7セッションにわたり、相場は約130pipsの狭いレンジに収まっており、ブレイクに向けたエネルギーが蓄積している可能性がある。当面は、急変動またはレンジ継続のいずれにも対応し得る戦略、例えば1.1600から大きく離れた水準のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)オプションを売るような手法が、リスク管理を徹底する前提で妥当と考えられる。
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