USD/CHFは4日続落し、週明け月曜のアジア時間は0.7820前後で推移した。米国とイランの合意観測が強まり、地政学リスクへの警戒が後退(安全資産への需要が減少)したことで、米ドルが弱含んだ。Axiosは米当局者の話として、両国が「60日間の停戦延長」を柱とする合意に近いと報じた。提案では、イランが機雷を除去してホルムズ海峡(中東の主要な原油輸送ルート)の航行を再開し、船舶の自由通航を認める一方、米国はイラン港湾への事実上の封鎖を解除するという。
もっとも、米ドル安は抑えられた。インフレ懸念がやや強まり、米連邦準備制度理事会(FRB=米中央銀行)が追加利上げに動くとの見方が残っているためだ。CME FedWatch(先物市場の価格から政策金利見通しを確率で示す指標)によれば、市場は年末までに0.25%(25bp=0.25%ポイント)の利上げが行われる確率を45.1%と織り込んでいる。政策面では不透明感も続く。クリストファー・ウォラーFRB理事は、声明文で「緩和寄り(利下げを示唆する姿勢)」を維持することを支持しない考えを示した。スイス国立銀行(SNB=スイス中央銀行)のマルティン・シュレーゲル副総裁は、必要なら為替市場への介入(当局が通貨を売買して相場に影響を与えること)を行う用意があると述べ、スイスのインフレ率は物価安定の範囲内にあるとの認識を示した。
下落トレンドの見通しと取引戦略
USD/CHFの下落トレンドは、今後数週間続く余地があるとみる。米国・イラン合意の可能性はリスク要因を減らす材料で、すでにWTI原油先物(米国の代表的な原油価格指標)は1バレル85ドル超から79ドル近辺へ低下した。これにより、目先のインフレ懸念が和らぎ、安全資産としての米ドルの魅力も低下しやすい。
この見通しを踏まえ、USD/CHFのプットオプション(あらかじめ決めた価格で売る権利。下落局面で利益になりやすい)を、行使価格0.7750および0.7700近辺で購入する戦略を検討する。この手法は、さらなる下落で利益を狙いつつ、最大損失を支払ったオプション料に限定できる。通貨ペアは重要な下値支持線(下げ止まりやすい水準)を割り込み、過去の緊張緩和局面の値動きからも0.7700方向への下落は想定できる。
リスク:FRBの政策とSNBの介入
一方で、FRBの姿勢には注意が必要だ。2026年4月の米CPI(消費者物価指数=インフレ率を示す代表指標)は予想を上回る3.6%となり、ウォラー理事のタカ派(利上げに前向き)発言を裏付けた。インフレが粘着的(下がりにくい)であれば、市場が年内利上げをより強く織り込み、米ドルが反発する可能性がある。