英国のS&Pグローバル総合PMI(購買担当者景気指数、企業の景況感を示す指数)の5月は48.5となった。市場予想の51.7を下回った。
50を下回ると、民間部門全体の活動が縮小(景気が弱まること)していることを示す。このため5月は、前月より悪化したことを示唆する。
英国の景気への市場の見方
英総合PMIが予想51.7に対して48.5へ低下し、想定外の縮小となったことは、大きな弱気材料だ。1年以上ぶりに企業活動が縮小したことを示し、市場の想定を外した。英ポンドや英国資産が弱含む局面を見込み、ポジション調整が必要になる。
この弱い統計は、イングランド銀行(英中央銀行)の金利政策の見通しを変える。先週まで市場は、サービス価格のインフレ(サービス価格の上昇率)が下がりにくく、最新の4月は3.9%だったことから、利下げ(政策金利の引き下げ)は2026年後半に1回程度にとどまるとの見方が中心だった。だが活動の落ち込みが鮮明になったことで、市場は複数回の利下げを織り込みやすい。最初の利下げが8月会合に前倒しされる可能性もある。
為替では、英ポンドを売る(下落を見込む)戦略が軸になる。GBP/USD(英ポンド/米ドル)は1.28前後で推移していたが、主要な価格帯(テクニカル上の下支え水準)を割り込み、年初来の安値を試す展開が意識される。ポンドのプットオプション(特定の価格で売る権利)を買う、またはGBP/USD先物(将来の価格で売買する契約)を売る手段が考えられる。
株式では、FTSE100に加え、英国景気の影響を受けやすいFTSE250の下落が意識される。国内景気に敏感な小売や建設などは特に弱含みやすい。FTSE250指数(ティッカー:MCX)のプットオプションを買うことは、今後数週間の下落に備える方法となる。
リスク環境と過去の類似局面
今回の急変は、2022年の「ミニ予算」危機(財政政策を巡る混乱で英資産が急落した局面)を思い起こさせる。今回は政治ではなく景気要因だが、英国資産を売る流れが強まるという点は似ている。2025年の大半で見られた、インフレ鈍化と緩やかな回復期待による楽観からの転換と言える。