フランスのHCOB製造業PMI(購買担当者景気指数)は5月に48.9となった。市場予想の52.5を下回った。
PMIは50を下回ると、製造業の活動が縮小していることを示す。5月の結果は予想を3.6ポイント下回った。
予想外のフランス製造業の縮小
予想の52.5を大きく下回ったことで、フランスの製造業が想定外に縮小していることが示された。これは景況感の急な悪化を意味する。フランス株には弱気(下落)目線の取引を検討するシグナルとみる。たとえばCAC 40指数のプットオプション(下落時に利益が出やすい権利)を買う戦略がある。今回の「予想との差(サプライズ)」は、2024年末の不透明感局面以降で最大級だ。
フランスのような主要経済国の弱さは、ユーロ圏全体の先行きとユーロに下押し圧力をかける。デリバティブ(金融派生商品)市場では、通貨のショート(下落を見込む売り持ち)を増やす動きが出やすい。昨年の減速局面で意識された対ドル1.05水準を目標にする可能性もある。EUR/USDのオプションで示されるインプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の変動率)は、早朝取引で10%を上回って上昇しており、新たな不確実性を反映している。
この弱い指標は、欧州中央銀行(ECB)の金融政策運営を難しくし、今夏の追加利上げの可能性を低下させる。市場ではECBが慎重になるとの見方が強まり、債券市場(固定利付資産)が上昇しやすい。フランス国債(OAT、フランス政府が発行する国債)の先物を買う機会が意識される。利回り(債券価格と逆に動く指標)は低下が見込まれるためだ。
株式市場では、フランスの影響が大きい産業株や景気敏感株が相対的に弱含むとみる。相対価値取引(2つの資産を組み合わせ、差の拡大・縮小を狙う手法)としては、CAC 40を売り、ドイツDAX指数を買う戦略が考えられる。欧州全体の地合いの影響を抑えつつ、今回のフランス固有の弱さを狙う狙いだ。
ボラティリティ上昇への備え
経済指標のサプライズが大きいことから、当面は市場の変動が大きくなる局面が想定される。VSTOXX(ユーロ・ストックス50の予想変動率指数)コールオプション(上昇時に利益が出やすい権利)を買い、ボラティリティ上昇を狙うことも検討材料となる。今後2週間にユーロ圏の重要なインフレ指標の発表を控える中、ヘッジ(価格変動への備え)としても使える。