要点
- ドル/円は158.51で推移し、0.18円安(0.14%安)となり、日中高値159.097円を付けた後に上げ幅を縮小していました。
- 円相場は1ドル=159円近辺で推移し、4月下旬から5月初旬に介入を招いた160円近傍を意識する展開でした。
- 市場では12月の米利上げ確率が50%超に織り込まれ、日銀の6月15〜16日会合が再び焦点となっていました。
- 日本の1-3月期実質GDPは年率換算で2.1%増と予想(1.7%)を上回り、日銀の追加利上げ観測を後押ししていました。
20日の東京時間、円は1ドル=159円近辺で推移し、当局による追加介入への警戒感がくすぶっていました。ドル/円は158.51と、0.18円安(0.14%安)で推移していました(05/20 06:44:15 GMT+3時点)。日中高値は159.097円、安値は158.835円で、寄り付きは159.026円、前回終値は159.069円でした。
ドル/円は、当局が4月下旬から5月初旬にかけて円買い介入を実施したとされる160円近傍を引き続き意識していました。市場では、円安をどの水準まで容認するのかを見極めようとする動きが広がっていました。
もっとも、マクロ面ではドル高要因が優勢でした。イラン戦争に伴うインフレ懸念が米利上げ観測を押し上げ、ドルは6週間ぶり高値近辺で推移していました。円は介入警戒水準とされる159円近辺にとどまり、市場では12月の米利上げ確率が50%超に織り込まれていました。
米利上げ観測で金利差はなお拡大
ドル/円は米金利見通しに支えられていました。イラン戦争は原油価格の高止まりを招き、エネルギー供給を混乱させ、インフレ圧力を再燃させていました。これにより、市場の織り込みは利下げ方向から後退し、FRBが再び引き締めに動くリスクを意識する方向へと傾いていました。
ドル指数は99.306と、5月に入って1%超上昇していました。ブレント原油は1バレル110.8ドル前後で推移していました。原油高はインフレリスクを温存し、FRBの政策緩和余地を狭める要因となっていました。
こうした日米金利差が、円相場を押し下げる構図でした。米金利が高水準で推移する一方、日銀の政策調整はなお緩やかでした。米インフレが鈍化する、あるいは米国債利回りが低下しない限り、押し目でのドル買い・円売りが続きやすい状況でした。
日銀追加利上げ観測が円売りを抑制
一方、日本側の材料も一方向ではなくなっていました。堅調な国内指標を受け、日銀の追加利上げ余地が意識されていました。
日本の1-3月期実質GDPは年率換算で2.1%増と予想の1.7%を上回っていました。前期比では0.5%増と、予想の0.4%増を上回っていました。個人消費と設備投資はいずれも0.3%増となり、外需(純輸出)は成長率を0.3ポイント押し上げました。
こうした指標は、日銀が動きやすい環境を整えていました。景気が底堅ければ、借入コスト上昇を吸収しやすくなります。また、為替介入だけでなく、金利政策の側面から円を下支えする理屈も強まりました。
また、ベッセント米財務長官は日銀の独立性や日本のファンダメンタルズ改善を支持する姿勢を示していました。市場では、日銀が6月15〜16日会合で政策金利を0.75%から1%へ引き上げる確率を80%程度織り込んでいました。
160円接近で介入リスクが再燃
当局はすでに、必要なら行動する姿勢を示していました。複数の関係者は、為替の動きが無秩序になれば、介入回数に上限はないとの見方を示唆していました。
円は、直近の介入で一時的に強まった分を大きく吐き出していました。ドルが底堅い一方で、160円近傍では介入警戒が根強く、投機筋は慎重になりやすい局面でした。
介入は日中の急変動を招く一方、金利面の裏付けがなければトレンド転換にはつながりにくい傾向でした。FRBがタカ派姿勢を維持し、日銀が様子見を続ければ、介入ショック後にドル/円が再び持ち直す展開が想定されていました。反対に、日銀が6月に利上げを実施し、追加引き締めの可能性を示せば、円はより強い下値を形成し得ました。
原油高が日本に重荷
中東情勢の緊迫は、日本にとって別の逆風でした。日本はエネルギー輸入依存度が高く、原油高は円にとって悪材料になりやすい構図でした。燃料費上昇は貿易収支を悪化させ、輸入物価を押し上げ、家計の実質購買力を圧迫していました。
イラン戦争はすでにエネルギー市場を混乱させ、ホルムズ海峡の封鎖で原油価格を高止まりさせていました。これにより、ドルは安全資産需要とインフレ面で優位性を得る一方、日本は輸入コスト増に直面していました。
この結果、東京にとって政策運営は難しい組み合わせになっていました。円安は輸入インフレを押し上げ、原油高は物価圧力をさらに強めました。日銀の利上げは円を支える可能性がある一方、家計や企業負担が意識されれば景気を冷やすリスクもありました。
テクニカル分析
ドル/円は158.85近辺で推移し、5月初旬に介入を想起させる急落で一時156.00を割り込んだ後、足元では落ち着きを取り戻していました。安値からの反発は比較的緩やかに進んだものの、159.00〜160.70付近の広範な上値抵抗帯を前に、再びモメンタムが鈍化していました。
テクニカル面では、戻り基調は維持しつつも脆弱な構図でした。
- MA5: 158.78
- MA10: 158.01
- MA20: 158.19
価格は10日線と20日線を上回って推移しており、短期的な地合いはやや強含みでした。ただ、直近のローソク足には戻り高値の手前で迷いが見られ、ドル/円が強い抵抗帯に近づく中で買いの勢いが弱まりつつあることを示唆していました。
注目水準は以下の通りでした。
- 目先の上値抵抗: 159.00 → 160.70
- 主要上値抵抗: 161.40
- 下値支持: 158.00 → 156.40
- 主要下値支持: 153.90 → 152.00
とりわけ160.70はきわめて重要な水準でした。同水準は以前に大きな下方向のボラティリティを引き起こした経緯があり、円安が再び急速に進む場合には当局の警戒が強まりやすい「圧力点」となり得ました。
値動きの構造面では、月初の急落後、ドル/円はより狭いレンジでの戻り局面に移行していました。3〜4月のような強い上昇モメンタムは見られず、介入リスクを前に買い手が慎重になっている可能性がありました。
ファンダメンタルズ面では、相反する2つの力が拮抗していました。
- 米金利高とFRBの利下げ先送り観測がドルを支えていました。
- 円安への根強い警戒と日本の介入観測が上値追いの勢いを抑えていました。
市場は日銀の動向も注視していました。国債買い入れ、インフレ、政策正常化を巡る発言がたとえ小幅に変化しても、よりタカ派的との受け止めが広がれば円が急速に強含む可能性がありました。
出来高は介入主導の急落局面と比べて落ち着いており、市場が直ちに新たなブレイク局面に入るというより、足元はもみ合い(コンソリデーション)の色合いが強いことを示していました。
ドル/円が159.00を明確に上回って推移できれば、160.70の再試しが視野に入りやすい状況でした。一方、同ゾーン手前で上値を抑えられる展開が続けば、利食い売りが再び強まり、158.00、さらに156.40方向への下押し圧力が高まる可能性がありました。
総じて、基調はドル高優位でしたが、介入リスクと「160円」の政策感応度を意識し、上値余地は徐々に制約されつつありました。
慎重な見通し
ドル/円は、158.187および158.018を上回って推移する限り、緩やかな上昇バイアスを維持していました。159.097を上抜ければ、160.716に向けた一段高が意識され、同水準では介入リスクが急速に高まる可能性がありました。
158.018を下回れば短期の形状は悪化し、焦点は156.402に移り得ました。次の方向性は、(1)米利上げ織り込み、(2)6月15〜16日会合を前にした日銀シグナル、(3)当局が160円接近を受けて再度の円買い介入を必要と判断するか――の3要因に左右されていました。
トレーダーの疑問
なぜドル/円は159円近辺なのか
円は、ドル高基調、米国債利回りの高止まり、年内の米利上げ観測の高まりを背景に上値の重い展開となり、ドル/円は159円近辺で推移していました。
ドル/円は158.51と、日中高値159.097円を付けた後に0.18円安(0.14%安)となっていました。
足元のドル/円水準は
ドル/円は158.51で推移していました。
日中高値は159.097円、安値は158.835円で、寄り付きは159.026円、前回終値は159.069円でした。
なぜ円は上値が重いのか
ドルはインフレ懸念、米国債利回りの高止まり、米利上げ観測を背景に底堅く、円は相対的に売られやすい地合いでした。
中東情勢の長期化で原油価格が高止まりし、エネルギー輸入依存度の高い日本にとって円の重しとなっていました。
なぜ160円が重要なのか
160円近辺は、当局が4月下旬から5月初旬にかけて介入を実施したとされる水準であり、市場の警戒感が高まりやすい節目でした。
ドル/円が160円へ近づけば、東京による円買い介入への警戒から、参加者は一段と慎重になりやすい状況でした。
日本は再び介入するのか
ドル/円が160円に向けて急伸する、あるいは円安が無秩序と判断される場合には、日本当局が再び介入に踏み切る可能性がありました。
複数の関係者は、必要なら当局が外為市場に介入する回数に制限はないとの見方を示唆していました。
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