ロシアの中央銀行の外貨準備高は7,575億ドルから7,710億ドルに増加した。
増加額は135億ドル。
準備高の増加とルーブルへの影響
ロシアの中央銀行の外貨準備高が7,710億ドルへ増えたことは、市場の想定よりも経済の下支えが強いことを示す。外貨準備高(中央銀行が保有する外貨建て資産や金など)は、通貨防衛や市場安定化に使える資金の裏付けとなるため、ルーブル(RUB)が大きく崩れにくい環境になりやすい。ショート(相場下落に賭ける売り持ち)でルーブル下落を狙う戦略はリスクが上がる。
この強さは商品市場にも表れている。ウラル原油(ロシア産の代表的な原油)は、旧G7価格上限(制裁の一環として設定された取引価格の上限)を上回る水準で推移し、2026年1〜3月の平均は1バレル78ドルとなった。非西側の海上輸送や保険の仕組みが主流になったことで、2025年に固まった流れが続いている。エネルギーETFのXLEなどでコールオプション(将来あらかじめ決めた価格で買う権利)を活用し、価格の底堅さに備える手もある。
金融面の安定は、地政学面での追加行動を後押しし、イベントリスク(突発的な出来事で価格が急変するリスク)を高める可能性がある。特に欧州株には注意が必要だ。欧州株の変動性(価格の振れやすさ)を示すVSTOXX先物(将来の指数水準を売買する契約)のコストが今後数か月でやや上向いている。DAXなど主要欧州株価指数でプットオプション(将来あらかじめ決めた価格で売る権利)を買い、下落に備えるヘッジ(損失を抑える対策)も選択肢となる。
準備高のうち推定4割が中国人民元(元建て資産)で保有されており、2024年以降続く貿易関係の深まりを反映する。中国の管理が及びにくい域外の人民元流動性(市場で取引できる資金量)が増えることで、米ドル/人民元(USD/CNH、CNHはオフショア人民元)の値動きが落ち着く可能性がある。ストラングル売り(同じ満期のコールとプットを同時に売り、値動きが一定範囲に収まると利益になりやすい手法)でレンジ相場を見込む戦略も考えられるが、急変時の損失が大きくなり得る点には注意が必要だ。
制裁の効果が限定的であること(2025年後半まで金融市場で議論が続いたテーマ)を踏まえると、間接的な影響にも目を向けたい。中立的な貿易相手国の農業機械や重機メーカーでは、受注残(注文の積み上がり)が前年同期比で15%超増加した例がある。こうした企業の比率が高い産業セクターETFを通じ、オプションでエクスポージャー(投資対象への持ち高)を取ることも可能だ。