米国債利回りはイランとの衝突開始以降、急上昇した。ただし、他国でも金利(市場金利)が上がっているため、米ドルの上昇は利回りの動きほど大きくない。結果として、ドルに有利な「相対的な金利差(他国と比べた金利の上乗せ)」の変化は限定的にとどまっている。
ソシエテ・ジェネラル(仏銀)の2026年末のGBP/USD(英ポンド/米ドル)予想は、ブルームバーグの市場予想(コンセンサス)を下回り、中期的にポンド安を見込む内容だ。背景として、短期の米国債利回り(償還まで2年程度の国債利回り)の上昇を主因に、金利見通しが変化した点を挙げている。
米国債利回りと相対的な金利差の支え
記事によれば、2年国債利回りは戦争開始以降に6%超上昇した。また、米国の2年利回りが他国より速いペースで上がる流れが続いているという。
ブルームバーグの2026年末コンセンサス予想は、DXY 96.7、EUR/USD(ユーロ/米ドル)1.20、GBP/USD 1.35。ソシエテ・ジェネラルの2026年末予想は、DXY 98.6、EUR/USD 1.16、GBP/USD 1.32。
金利見通しは、イランとの衝突開始以降に大きく変わった。世界的に国債利回りは上昇しているが、米国金利の上昇が他国を上回る傾向が一段と目立つ。この「金利の乖離(差の拡大)」が、中期の為替見通しを左右する主要因になっている。
短期の売買への示唆
足元のデータにも表れている。米国の4月インフレ指標は3.8%と強く(物価上昇が再び強い)、米連邦準備制度理事会(FRB:米国の中央銀行)に利下げしにくい圧力がかかっている。一方、英国のインフレは鈍化がよりはっきりしてきた。その結果、米英2年国債利回りの差(スプレッド:2つの利回りの開き)は150ベーシスポイント超に拡大した。ベーシスポイント(bp)は金利の単位で、1bp=0.01%。150bpは1.50%の差を意味する。この水準は、2025年末に市場が金利見通しを大きく見直した局面以来だ。
今後数週間の取引では、ポンドに慎重姿勢が必要で、対ドルで上がった局面では売りを優先しやすい。1.32方向への下落を見込むなら、オプション(将来に特定価格で売買できる権利)を使う方法がある。たとえばGBP/USDのプット(売る権利)を買う、またはプット・スプレッド(異なる行使価格のプットを組み合わせてコストを抑える手法)で費用を下げる。下落局面に備えつつ、損失を一定範囲に抑えやすい。
これはポンドだけの話ではない。ドル高は広い通貨に対して進みやすく、DXY(米ドルの総合指数。主要通貨に対するドルの強さを示す)98.6という見通しと整合的だ。ドイツの鉱工業生産(製造業などの生産活動を示す統計)の弱さは、欧州中央銀行(ECB:ユーロ圏の中央銀行)がFRBほど金融政策を引き締め方向で追随しにくいことを示す材料になる。よってEUR/USDにも下押し圧力がかかりやすく、同社は1.16を予想し、コンセンサスの1.20よりユーロ安を見込む。