米国のニューヨーク連銀「エンパイア・ステート製造業景況指数」は5月に19.6となった。市場予想(7.5)を上回った。
5月の製造業指標は19.6と、市場予想の7.5を大幅に上回った。景況感の改善は、景気の勢いが想定以上に強いことを示す。景気が減速して近く利下げに踏み切れる、という見方には逆風となる。
Fed Policy Implications
この強い指標は、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策判断を難しくする。利下げ時期は後ろ倒しになりやすい。政策担当者の発言はよりタカ派(金融引き締めに前向き)に傾き、「高金利が長期化(higher for longer)」の見方が強まりやすい。CMEのフェド・ファンズ先物(FRBの政策金利の先行きを織り込む先物)で見た夏場の利下げ確率は、この発表を受けて低下した可能性が高い。
株価指数の取引では、景気の強さが企業収益の支えになる一方、金利上昇観測が株式の理論価値(将来利益を金利で割り引くため、金利が高いほど株価に不利)を押し下げる要因となる。2025年にインフレが粘着的(下がりにくい)だった局面で株式市場が大きく下落した点を踏まえると、S&P500のプット(下落に備える売る権利を買うオプション)でヘッジ(損失を抑える保険)を検討したい。VIX(S&P500の予想変動率を示す「恐怖指数」)は13前後の低水準で推移してきたが、不確実性の織り込みで上昇しやすい。
金利市場では、米国債が売られて利回り(債券の利子収入を価格で割った指標)がカーブ全体で上がりやすい。10年国債利回りは4.50%近辺で推移していたが、直近高値を再び試す展開が想定される。デリバティブ(先物・オプションなど派生商品)戦略としては、米国債先物のショート(値下がりを見込む売り)や、債券ETFのプット購入でこの動きに備える選択肢がある。
為替では、相対的に米金利が高止まりしやすいとの見通しから、米ドルに追い風となる。ドル指数(DXY、主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指数)は下支えされやすく、ハト派(金融緩和に前向き)姿勢が目立つ中銀の通貨に対して上昇しやすい。ユーロや円に対して、USD先物のロング(上昇を見込む買い)やコール(上昇を見込む買う権利のオプション)を検討する余地がある。