韓国の輸出物価の伸び率は4月に前年同月比40.8%となった。前回の28.7%から加速した。
データは、4月の輸出物価の上昇ペースが一段と速まったことを示す。前回からの変化は12.1ポイントの上昇に相当する。
インフレの兆候と中銀への圧力
輸出物価が40.8%へ急上昇したことは、注視すべき強いインフレ(モノやサービスの価格が広く上がる現象)の兆候だ。数週間後に予定される韓国銀行(中央銀行)の次回会合への圧力は大きい。姿勢が「タカ派」(インフレ抑制を優先し、利上げに前向きな立場)へ傾き、通貨防衛と物価抑制を目的に政策金利を引き上げる可能性がある。
この場合、最も直接的な取引先は為替市場だ。韓国ウォンは弱含み、直近では1ドル=1,420ウォン前後で推移しており、これが輸出物価の押し上げ要因の一つになっている。ウォン高(自国通貨高)を想定するなら、KRWコールオプション(あらかじめ決めた価格でウォンを買える権利)を買う、またはUSD/KRW先物(ドル/ウォンの将来の取引価格を固定する商品)を売るといった手段が考えられる。中銀が利上げに動けば、ウォン高圧力が強まる可能性がある。
株式では、防御的なスタンスが意識されやすい。一般に利上げは企業の資金調達コストを押し上げ、株価の重荷となりやすい。このため、2,650近辺で推移しているKOSPI200指数のプットオプション(あらかじめ決めた価格で売れる権利)を買い、金融引き締めによる下落に備えるヘッジ(損失を抑える目的の取引)とする選択肢がある。
ただし、今回の物価上昇は世界的な半導体需要の強さに支えられている面が大きい。フィラデルフィア半導体指数(SOX、米国上場の主要半導体企業で構成される株価指数)が年初来で20%超上昇している一方、金利上昇などのマクロ環境(景気・金利・為替など市場全体の要因)は逆風となり得る。セクターの強さと全体環境の逆風が併存するため、値動きの振れ(ボラティリティ)が高まりやすい。サムスン電子など主要輸出型ハイテク株に対し、ストラドル(同じ期限・同じ行使価格でコールとプットを同時に買い、上下どちらかに大きく動く局面で利益を狙う戦略)で大きな値幅を取りにいく発想もある。
2022年の利上げ局面を振り返ると、中銀の判断を巡る不確実性が「インプライド・ボラティリティ」(オプション価格に織り込まれた将来の変動予想)を大きく押し上げた。今後数週間も同様の環境になり得る。次回の韓国銀行の発表前に、オプションを通じてボラティリティを買う(変動拡大を見込む)戦略は検討材料となる。