ユーロ/英ポンド(EUR/GBP)は木曜日、0.8660近辺で推移した。英国の3月指標は市場予想を上回ったが、政治の不透明感が下落(=ポンド高・ユーロ安)の進行を抑えた。
英国の国内総生産(GDP:国内で生み出された付加価値の合計)は第1四半期に前期比0.6%増と予想通りで、前四半期の0.2%増から加速した。3月の月次GDPは前月比0.3%増と、市場が見込んでいた0.2%減に反してプラスとなった。
Uk Growth Beats Expectations
製造業生産(工場の生産量を示す指標)は3月に前月比1.2%増と、2月の0.2%減(改定後)から反発した。市場は0.2%減を見込んでいた。
サービス業指数(サービス業の生産活動を示す指標)は3月に前月比0.8%増となり、2月の0.5%増から加速し、市場予想の0.6%増も上回った。
ユーロ圏では、スペインのHICP(調和消費者物価指数:EU共通基準のインフレ指標)が4月に前年比3.5%上昇し、3月の3.4%から伸びが拡大した。エネルギー価格の急変が物価を押し上げている可能性が示された。
この後、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁がドイツのアーヘンで講演する予定。市場では次回の利上げ時期を6月または7月と織り込んでいる。
Market Focus Shifts To Central Banks
EUR/GBPは0.8640付近を中心に売買が交錯し、指標発表後も方向感が乏しい。英国の好調な経済指標が出ても、市場全体の不透明感が上値を抑えやすい状況で、英ポンドは国内の好材料を十分に反映しにくい。
4月下旬の英国インフレ指標では、CPI(消費者物価指数:家計が買う商品の価格動向)が2.9%で高止まりし、イングランド銀行(BoE)の目標を上回った。インフレが収まりにくいことは、利下げの先送り観測につながり、英ポンドの下支え要因となる。一方で、世界貿易の鈍化懸念は、対外取引の比重が大きい英国経済の重しになり得る。
ユーロ圏では、製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の受注・生産などから景気の強弱を測る。50未満は悪化)がおおむね49.5へ低下し、小幅な縮小を示した。これにより、ECBがBoEより早く金融緩和(利下げなど)を検討するとの観測が強まりやすい。
こうした差を踏まえると、EUR/GBPの下落、または下方向に偏ったレンジ相場を想定する戦略が選択肢となる。例えば、GBPコール(英ポンドを将来買う権利)やEURプット(ユーロを将来売る権利)を買う方法は、損失を一定範囲に抑えつつ英ポンド高に備えられる。EUR/GBPのプット・スプレッド(権利行使価格の異なるプットを組み合わせ、コストを抑える手法)も、緩やかな下落局面に対応しやすい。
英国の賃金上昇率は直近で4.1%と強く、物価と賃金の粘着性が意識されやすい。中期的には英ポンドを支えやすく、EUR/GBPが上昇する局面は、英ポンド高方向を狙う機会になり得る。