USD/CHFは水曜の欧州時間序盤、0.7805近辺でほぼ横ばいとなった。市場は今週後半に控える米国の重要なインフレ指標(物価の上昇率)と、米中協議(貿易などに関する話し合い)の進展を待っている。
サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、スコット・ベセント米財務長官と中国の何立峰(ホー・リーフォン)副首相が韓国で貿易・経済協議を行うと報じた。これはトランプ米大統領の中国公式訪問を前にした動きとなる。
Usd Chf Waits For Key Catalysts
トランプ大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談は木曜と金曜に北京で開かれる予定。トランプ氏は火曜、会談では貿易を重視すると述べ、イラン戦争への注目は抑えた。
米国の生産者物価指数(PPI:企業が出荷段階で受け取る価格の動きを示す指標。消費者物価に先行しやすい)は水曜後半に発表予定。総合PPIは4月に前年同月比4.9%と、3月の4.0%から加速が見込まれている。食品・エネルギーを除くコアPPI(振れが大きい項目を除いた基調を示す指標)は4.3%と、3月の3.8%から上昇予想。
スイスでは、スイス国立銀行(SNB:スイスの中央銀行)が政策金利を0%に据え置いている。ロイター調査に基づくエコノミスト予想では、金利は2026年末まで0%が続く見通しで、フラン高(スイス通貨の上昇)への対応は主に為替介入(中央銀行が外貨を売買して通貨の動きを抑える措置)に依存する可能性が高い。
Options Strategy And Scenario Risks
市場予想の「生産者物価が前年同月比4.9%上昇」は重要だ。想定以上の結果となれば、米連邦準備制度理事会(FRB:米国の中央銀行)による夏場の利上げ観測が再燃し得る。金利見通しの差(米国が引き締め方向、スイスが据え置き)は、米ドルがスイスフランに対して買われやすい要因となる。
一方、SNBはゼロ金利を維持している。SNBは過去に輸出産業を支える目的でフラン安(フランの下落)を促す為替介入を行ってきた経緯がある。こうした姿勢はUSD/CHFの下値を支え、下落リスクを抑えやすい。
今週の不確実要因は米中首脳会談だ。予想外に悪い結果となれば「安全資産への逃避」(リスク回避で比較的安全とされる資産が買われる動き)が強まり、フラン高でUSD/CHFが下げる可能性がある。そのため、損失が限定されるオプション(あらかじめ最大損失が概ね決まる取引)の方が、損失が拡大し得る先物(将来の売買を約束する取引)を持ち続けるより慎重な選択肢になりやすい。
インフレ指標が強く、貿易協議が大きな対立なく終わるなら、ドル高方向の流れが続く余地がある。USD/CHFは0.8000(心理的な節目となりやすい水準)を試す展開もあり得る。