米国レッドブック指数(小売売上高の週次指標)は、5月8日時点の前年比で9.6%に上昇した。前回は7.8%だった。
レッドブック指数が9.6%へ急伸したことは、消費の強さを示す重要なサインだ。支出がなお力強く、物価上昇(インフレ)を押し上げやすい。単発の数字として片づけるべきではない。
消費の強さがインフレリスクを補強
この指標は、先週発表された4月の消費者物価指数(CPI:消費者が購入するモノやサービスの価格の変化を示す指標)が前年比3.9%と、市場予想の3.7%を上回ったことと合わせて見ると重みが増す。さらに雇用統計でも非農業部門雇用者数(給与支払いを受ける雇用者の増減を示す指標)が24万人増となり、景気が再び勢いを増している見方が強まる。これは「FRB(米連邦準備制度理事会)の仕事は終わった」という見方に逆風となる。
このため、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会:金融政策を決める会合)で利下げが行われる可能性は急速に低下している。市場は「高金利が長く続く(higher for longer)」という前提へ見直す必要がある。
具体的には、SOFR先物(米国の無担保翌日物資金調達金利を参照する金利先物)でコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を売る、またはプット(同価格で売る権利)を買う戦略が考えられる。金利が高止まり、または上昇する局面で有利になりやすい。夏場の利下げを織り込む現在の価格は楽観的に見える。サービス価格のインフレが下がりにくく、将来の利下げ期待が外れた局面があったことも踏まえるべきだ。
また、景気の強さが続くと、市場の変動率(ボラティリティ:価格の振れ幅)が上がるリスクもある。FRBがより強い引き締め姿勢を示せば、株式市場は不意を突かれやすい。VIX(S&P500の予想変動率を示す指数)コールを買うことは、今後数カ月の下落に備えるヘッジ(損失を抑える保険)として費用対効果が高い可能性がある。
ボラティリティ上昇への備え
さらに、FRBの引き締め的な政策(高金利を維持して需要を抑える政策)は、成長株中心のセクターにとって重荷になりやすい。株価指数の持ち高は見直しが必要で、とくにテクノロジー関連は注意したい。ナスダック100指数のプットでロング(買い持ち)ポートフォリオをヘッジするのは、今後数週間の戦略として妥当だ。