EUR/USDは火曜日、月曜日に1.1790近辺で上値を抑えられた後、1.1750を下回った。米国とイランの停戦を巡る懸念が強まり、安全資産とされる米ドル(リスク回避局面で買われやすい通貨)に買いが入った。
米国のドナルド・トランプ大統領は、停戦は「生命維持装置につながれている」状態だと述べた。CNNは側近の話として、大統領が戦闘再開を検討する可能性があると報じた。
米インフレに注目
米国の消費者物価指数(CPI:消費者が購入するモノやサービスの価格変化を示す指標)が火曜日後半に発表される。4月の総合(ヘッドライン)インフレ率は前年比3.7%と予想され、2023年9月以来の高水準。食品・エネルギーを除くコアCPI(価格変動が大きい項目を除き基調を見やすくした指標)は前年比2.7%と見込まれ、3月の2.6%から上昇するとされている。
ユーロ圏では、ドイツのZEW景況感指数(金融市場関係者の景気見通しを調べた調査)が5月に-17.2(4月)から-10.2へ改善し、市場予想の-19.8を上回った。一方、現況指数は-73.7から-77.8へ悪化し、予想(-77.5)を下回った。
4時間足チャートでは、モメンタム(価格変動の勢い)が弱まりつつある。RSI(相対力指数:買われ過ぎ・売られ過ぎを探る指標)は47近辺、MACD(移動平均収束拡散法:2つの移動平均の差でトレンドの強弱をみる指標)はわずかにゼロを下回る。下値の目安(サポート)は1.1725と1.1645〜1.1675、上値の目安(レジスタンス)は1.1790〜1.1800と1.1850。
政策の方向性の違いが見通しを左右
その後、状況は大きく変わった。地政学リスクはインフレの下げ渋り(粘着性)を招き、米連邦準備制度理事会(FRB)は2025年後半を通じて「高金利を長期化」させ、ユーロ/ドルは下落した。足元でEUR/USDは1.1150近辺で推移し、紛争の直接的な脅威は後退した一方、経済への影響が引き続き焦点となっている。
直近(2026年4月)の米CPIでは、インフレ率が2.9%へ鈍化し、2025年の中東情勢を受けた3.7%のピークからは明確に低下した。ただし、依然としてFRBの目標を上回り、政策転換(利下げ開始)の時期を巡る不透明感が残る。CMEのFedWatchツール(米金利先物から利上げ・利下げ確率を推計する指標)では、第4四半期に初回利下げが行われる確率を60%と織り込むが、この見通しは変動しやすい。
一方、ユーロ圏は対照的だ。2026年1〜3月期の域内GDP成長率は0.2%と低調だった。欧州中央銀行(ECB)関係者の発言からは、インフレ抑制よりも景気下支えを重視する姿勢が示唆されている。こうした中央銀行のスタンスの違いが、ユーロの重しになっている。
この環境では、EUR/USDの下落余地を見込む、または上値が限定される前提の戦略が有効とみる。例えば、行使価格(権利行使する価格)1.1000近辺で、6〜8週間先に満期(契約期限)を迎えるプット(下落時に利益が出やすいオプション)を買うことで、中央銀行の方向性の違いで下押しする局面に備えたヘッジ(リスクを抑える取引)になり得る。最大損失(支払ったプレミアム=オプション料)を限定しながら、下落トレンドに乗れる点が特徴だ。
FRBの利下げ時期とECBの対応を巡る不確実性で、オプションのボラティリティ(予想変動率:将来の値動きの期待値)は高めに推移している。Cboeのユーロ通貨ボラティリティ指数(EVZ:ユーロ関連オプションから算出される市場の不安度合いの目安)は8.5近辺で、2025年以前の平均を上回り、警戒感を映す。こうした環境では、アウト・オブ・ザ・マネー(現値から離れた権利行使価格)のコール(上昇時に利益が出やすいオプション)を売って受け取るプレミアムで、プット購入費用の一部を賄う構造も、下落ヘッジのコストを抑えたい一部の取引参加者にとって選択肢となる。