米国債利回りは、中東情勢の緊迫化に関する報道と、今後見込まれる国債発行(国債の供給増加)への警戒を受けて上昇した。市場の焦点は、米国の4月消費者物価指数(CPI、消費者が購入するモノやサービスの価格の変化を示す指標)と、それが米ドル相場および金利の織り込み(市場がどの程度の金利水準を想定して価格に反映しているか)に与える影響に移っている。
TDセキュリティーズは、4月のコアCPI(食品・エネルギーを除くCPI)を前月比0.38%と予想している。市場予想(コンセンサス)の0.36%を上回る見通しだ。総合CPI(ヘッドラインCPI、全項目のCPI)は前月比0.56%と予想し、コンセンサスの0.6%を下回るとしている。
April CPI Expectations
コアCPIの見通しは、住居費(シェルター、家賃など住宅関連の費用)が、統計の算出方法の調整を背景に持ち直すことと関係している。原油価格の上昇も、航空運賃などの項目に波及するとみられる。
コア財(耐久財・非耐久財など、サービス以外のモノの物価)のインフレ率は落ち着いた状態が続き、関税(輸入品にかかる税金)の影響も限定的にとどまる見通しだ。総合CPIは、ガソリン価格の高止まりと、3月が横ばいだった食品価格の上昇が下支えすると予想される。
Rates Volatility And Positioning
デリバティブ(先物・オプションなどの金融派生商品)取引では、「金利は高水準が長引く(higher for longer)」という見方が再び強まっている。夏場の利下げ観測(政策金利を引き下げるとの見方)は大きく後退し、フェデラルファンド(FF)先物(米政策金利の見通しを反映する先物)では、初回利下げの時期が年後半、場合によっては第4四半期まで後ずれする可能性が織り込まれている。こうした局面では、SOFR先物(担保付き翌日物調達金利SOFRを参照する短期金利先物)に連動した短期金利オプションが、高金利の長期化に備えるポジション構築で重要になる。
2025年に大きな要因だったエネルギーも、再びリスクとして意識されている。ホルムズ海峡での緊張がブレント原油(北海産原油を基準とする国際指標)を1バレル90ドル近くへ押し上げるなか、総合インフレ率が再び跳ねるリスクが高まっている。このため、利回りが一時的に低下しても、その持続性には慎重な見方が必要だ。
この環境では、債券市場の予想変動率(インプライド・ボラティリティ、市場参加者が見込む価格変動の大きさ)を注視したい。MOVE指数(米国債市場の変動性を示す指数)は、年初の低水準から上昇している。今後発表されるインフレ指標や雇用統計が市場予想を外せば、金利が大きく動く可能性があるため、金利の急変で利益が出やすい戦略の検討が重要となる。