ドイツの3月の鉱工業生産(工場などでの生産の指標)は前月比0.7%減となり、2月の落ち込みは下方修正された。第1四半期の生産は、2025年第4四半期に比べて1%超低下した。
3月の減少は主に製造業(工場での生産)の低迷が要因。建設(建築・土木)は3月に増加した。
Germany Trade And Output Signals
3月の輸出は前月比0.5%増と伸びが鈍化し、2月の4.7%増から減速した。3月の貿易黒字(輸出額が輸入額を上回る差)は縮小した。
四半期ベースの鉱工業生産が減少し、貿易黒字も縮小したことで、第1四半期のGDP(国内総生産:国内で生み出された付加価値の合計)成長率の速報値が下方修正されるリスクが高まっている。中東での戦争とエネルギー価格の上昇が、弱い統計に関連しているとされた。
鉱工業生産が再びプラス圏に戻るには、第2四半期に少なくとも1%の増加が必要となる。4月もエネルギー価格は上昇が続き、サプライチェーン(供給網)の混乱リスクも高まった。
最新の鉱工業統計は、中東情勢の悪化を受けてドイツの成長力が大きく弱っていることを示す。生産は2025年末の水準から1%超落ち込み、エネルギー価格も上昇しており、先行きは厳しい。
Market Implications For The Eurozone
ユーロ圏の中核であるドイツ経済の弱さは、単一通貨(ユーロ)に大きな下押し圧力となる。EUR/USD(ユーロ/米ドル)はこの1カ月、1.05のサポート水準(相場が下げ止まりやすい目安)を何度も試しており、投資家は安全資産と見なされやすいドルへ資金を移している。こうした状況から、ユーロ安(ユーロの売り)余地が意識される。
主因はエネルギーコストの上昇で、欧州の天然ガス先物(将来の売買価格を今決める取引)が4月に30%超上昇し、1メガワット時(MWh)当たり約55ユーロ近辺となった。2022年にも高いエネルギー価格がドイツ製造業の長期低迷を招いた経緯がある。過去の例からは、今回の落ち込みも想定以上に深く、長引く可能性がある。
成長鈍化と、エネルギー高によるインフレ(物価上昇)が同時に進むことで、市場の不透明感は強まる。ECB(欧州中央銀行)は、インフレ抑制と景気下支えの両面で難しい判断を迫られる。市場変動に備える手段として、VSTOXX(ユーロ圏株の予想変動率=ボラティリティを表す指数)などのボラティリティ関連オプション(将来の売買権利を使い、値動き拡大に備える商品)の活用が、リスク管理(ヘッジ)として選択肢となる。