米ドルは金曜日、対円で小幅に下落し、週間ではほぼ横ばいで終える見通しとなった。USD/JPY(米ドル/円)は、日本による為替介入が疑われた水曜日の2カ月超ぶり安値からの反発後、157.00を下回る水準で動きが鈍った。
日本の為替政策を担う三村淳・財務官は、円を支えるための為替介入の回数に制限はないと述べた。また、米当局と日常的に連絡を取っており、投機的(短期の利益を狙った)な値動きを抑えることに注力しているとした。
日本の介入シグナルと市場の反応
USD/JPYは4月30日、160.00を上回った後に400ピップス超(ピップス=為替の最小の値動き。円絡みでは一般に0.01円)下落した。ロイターは、日本がこの局面で5兆円超(約320億ドル)を投じた可能性があると報じ、市場の値動きからは今週もより小規模な介入が続いた可能性が示唆される。
日銀の低金利と原油高が円の重しとされ、日本の財政状況への懸念も意識された。一方、ドルは中東情勢の緊張が高まる中で「安全資産需要(リスク回避局面で相対的に買われやすい通貨・資産への需要)」に支えられた。
市場の注目は、日本時間で今夜発表される米国の非農業部門雇用者数(NFP、農業を除く雇用者数の増減)にも移った。市場予想は4月が前月比+6.2万人(3月は+17.8万人)。民間調査のADP雇用統計(民間給与データを基にした雇用指標)が強めだったことから、上振れの可能性も意識された。
高ボラティリティ局面での戦略
最大の焦点は日米金利差で、縮まりにくい状況が続く。米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)は、根強いインフレ(物価上昇)への対応として政策金利を3.0%で据え置いている。直近の4月のインフレ率は3.1%だった。一方、日銀は政策金利を0.25%へ小幅に引き上げたにとどまる。この金利差は、「円で借りてドルで運用する」ことで金利差を狙うキャリートレード(低金利通貨で資金調達し、高金利通貨で運用する取引)を魅力的にする一方、急変動リスクも大きい。
昨年の400ピップス急落の記憶から、USD/JPYのオプションのインプライド・ボラティリティ(市場価格から逆算される将来の変動予想)は高止まりしている。現状では1カ月物が12%近辺で取引され、主要通貨ペアと比べて高い水準だ。これは、市場が東京からの不意の一手(介入)による急変を常に織り込んでいることを示し、単純な買い持ち(ロング)には警戒感が残る。
こうした環境では、介入リスクを抑えるためにデリバティブ(金融派生商品。元となる資産の値動きに連動する取引)を使う戦略が有効になる。今後数週間の対応としては、満期が長いUSD/JPYのコール・オプション(一定価格で買う権利)を買う手法が現実的だ。円安基調に乗りつつ、当局の介入で急反転しても損失を支払ったプレミアム(オプション代金)までに限定できる。
すでにロングを保有している場合、尾を引く大きな損失になり得る「テールリスク(まれだが影響が非常に大きいリスク)」を抑えることが重要になる。急落に備える保険として、アウト・オブ・ザ・マネー(権利行使価格が現値から離れ、現時点では行使しても得になりにくい)のプット・オプション(一定価格で売る権利)の購入を検討したい。ボラティリティの高さからコストは重いが、急変動時の資金を守りやすくなる。