オーストリアの鉱工業生産(製造業などの生産量の指標)は3月、前年同月比で1.7%増加した。
前回は前年同月比1.1%増だった。
今回の市場予想を上回る結果は、欧州の中核経済で景気の底堅さが増していることを示す。これは強気材料で、製造業の活動が想定より速いペースで持ち直している可能性がある。デリバティブ(先物・オプションなどの金融派生商品)取引では、景気回復の継続に備えたポジションを検討しやすくなる。
この前向きなデータは、ドイツのIFO企業景況感指数(企業の景況感を示す指標)が4月に90.2へ上昇し、1年超で最高となったことなど、最近の統計とも整合的だ。この流れを踏まえると、欧州株の上昇に備え、ユーロ・ストックス50指数(ユーロ圏の主要50銘柄で構成される株価指数)の7月満期のコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買う戦略が選択肢になる。広い市場の上昇に連動しつつ、支払うプレミアム(オプション料)に損失を限定できる。
一方で、この強さは欧州中央銀行(ECB)の判断を難しくする。ユーロ圏の4月CPI(消費者物価指数、物価の上昇率を示す指標)は2.6%と高止まりした。次回のECB理事会は6月12日で、強い統計が続けば、市場が見込んでいた利下げ(政策金利の引き下げ)が先送りされる可能性がある。そうなれば、EUR/USD先物(ユーロと米ドルの為替を将来の期日で売買する契約)の買いも注目される。ECBが「よりタカ派」(インフレ抑制を重視し、金融引き締め寄り)になれば、ユーロ高につながりやすいからだ。