米国の非農業部門雇用者数(NFP)、失業率、賃金の伸びが本日発表される。市場のポジションは引き続き米ドルの買い越し(ネットロング)だ。ポジションは「行き過ぎ」とまでは言われていない。一方、米ドル指数(DXY)は98.00近辺を維持しており、足元のスポット(現物)市場での値動きは、ポジションの強さほどには強くないように見える。
複数の雇用関連指標は、4月の雇用統計が市場予想(+6.5万人)より強い結果となる可能性を示す。新規失業保険申請件数(失業給付の新規申請数)は4月平均で約20.3万件と、3月の20.9万件から減少した。さらにADP雇用報告(民間企業の雇用者数を推計する指標)も、民間雇用の増加が堅調であることを示した。
雇用者数は上振れリスク
ISM非製造業(サービス)景況指数の雇用指数は45.2から48.0へ上昇した。これらのデータから、NFPは上振れしやすいとみられ、米ドルを下支えする可能性がある。
ただし、米金利見通し(今後の政策金利がどこまで上がるかという市場の予想)が急に大きく上方修正される可能性は低いとされる。このため、指標発表後の米ドル高も限定的となり、DXYの動きは現水準近辺にとどまりやすい。
これは、米ドルを買い持ちする取引が市場の共通認識になっていても、上値余地は限られやすいことを示唆する。デリバティブ(オプションなどの派生商品)では、こうした「上値が抑えられた強さ」から利益を狙う戦略として、DXYのアウト・オブ・ザ・マネー(現値から離れた)コールオプション(買う権利)を売ることでプレミアム(受取料)を得る方法が考えられる。例えばDXYが105.50前後で推移している場合、行使価格107.00以上のコールを売る戦略が選択肢になり得る。
FRBの慎重姿勢が上値を抑制
この「上値の蓋(キャップ)」の主因は、米連邦準備制度理事会(FRB)の慎重姿勢だ。雇用が強くても追加利上げを強く示唆しにくいとみられる。2025年も、予想を上回る雇用統計が出ても、利上げ期待が急速に強まる動き(金利見通しのタカ派方向への再評価)にはつながらなかった。コアインフレ率(食品・エネルギーを除く物価上昇率)が2.8%前後へ鈍化しつつあるなら、FRBが追加利上げに動くハードルは高い。
こうした局面では、ボラティリティ(価格変動の大きさ)が急上昇しにくいため、ショート・ボラティリティ(値動きが落ち着くほど有利な戦略)が機能しやすい。例えばショート・ストラングル(離れた行使価格のコールとプット=売る権利を同時に売り、レンジ内推移で利益を狙う手法)により、DXYが一定レンジに収まるシナリオを狙える。今後数週間の想定レンジとしては、104.00〜107.00を意識する見方もある。