インドネシア中銀(バンク・インドネシア)は、外国為替の変動(レートの上下が大きくなること)を抑え、インドネシア・ルピアを下支えするための追加策を打ち出した。具体策は、米ドル購入に対する規制強化、国債の買い入れ継続、そして一部ディーラー(銀行などの取引業者)による海外のNDF(ノン・デリバラブル・フォワード=現物の通貨を受け渡しせず、差額だけを決済する先物型取引)の利用容認だ。
7項目の行動計画の一環として、中銀は裏付け書類(請求書や契約書など)がない外貨購入の月間上限を5万ドルから2万5,000ドルへ引き下げた。先月に続く追加の引き締めとなる。
狙いは、明確な支払い需要(輸入代金、債務返済など)が確認できない米ドル需要を抑えることにある。当局は、外貨購入が書類で確認できる必要に結び付いているかの点検も強化している。
中銀は財務省と連携し、国債買い入れを継続する方針で、年初来の買い入れ額は1,230兆ルピアに達した。政策手段の組み合わせの一つとして、一部ディーラーには海外NDFの利用も認められている。
バンク・インドネシアが強い姿勢を示す中、短期的にはUSD/IDR(米ドル/ルピア)の上昇余地は限られるとみられる。中銀の対応により、ルピアは直近高値の1ドル=16,750から、過去1週間でおよそ16,480まで反発した。ルピアに対して米ドルを大きく買い持ちする投機的なポジションは、中銀の市場介入リスクが高いため注意が必要だ。
これらの措置は為替変動を実質的に抑え込んでおり、「ボラティリティ(価格変動の大きさ)を売る」戦略を示唆する。USD/IDRオプションの1カ月インプライド・ボラティリティ(市場価格から逆算される予想変動率)は、政策強化後に9%超から7.5%近辺へ低下した。中銀が安定を維持できることを前提に、ショート・ストラドル(同じ権利行使価格のコールとプットを売る戦略)やショート・ストラングル(異なる権利行使価格のコールとプットを売る戦略)が有利になり得る環境だ。
バンク・インドネシアの証券(SRBI)は利回りが高く、ルピアのキャリートレード(高金利通貨を買って金利差を狙う取引)の妙味を高めている。先週は国債に約5億ドルの海外資金流入(ネット)が見られ、2026年4月に観測された流出から急反転した。これは、2025年第3四半期の新興国不安時に、主に口先介入(発言で市場をけん制すること)に頼った支援よりも、踏み込んだパッケージといえる。