サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は木曜日、ブルームバーグTVで、長期のインフレ期待(将来も物価上昇が続くと家計や企業が見込む度合い)が上昇した証拠は見当たらないと述べた。賃金上昇は2%のインフレ率(物価上昇率)と整合的だとも語った。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC:米金融政策を決める会合)は政策金利(景気や物価を調整するための基準となる金利)を据え置くことで合意したと説明。声明文の表現よりも、行動自体が重要だとした。
Fed Commitment To Price Stability
デイリー総裁は、米連邦準備制度理事会(FRB:米中央銀行)は過度に反応せずに物価安定(インフレ率を低く安定させること)を目指していると述べた。国民はFRBの物価安定への姿勢を理解しているとも語った。
また、生産者や販売者は依然として価格転嫁(原材料などのコスト増を販売価格に上乗せすること)に慎重だと指摘。結果はイランを巡る紛争がどれほど長引くかに左右されるとした。
紛争が終結すれば、以前の好ましい動きが戻る可能性があるとも述べた。さらに、政策担当者の発言はFOMCがどう反応し得るかを明確にし、予測シナリオ(将来の経済・金利の見通しを複数想定した説明)が金利見通しの伝達に役立つ、と伝えた。
FRBは金利を当面据え置く方針を示しているようだ。真に重要なのは全会一致で「一時停止(利上げ・利下げを見送ること)」を決めた点にある。これは短期的なデータに過剰反応しない姿勢の表れとみられる。2026年3月のコアPCE(食品・エネルギーを除いた個人消費支出物価指数。FRBが重視する基調インフレ指標)は2.7%となり、インフレが2025年に見られた水準からゆっくり低下していることを踏まえると、こうした慎重姿勢を裏付ける。
Implications For Rates Markets
金利デリバティブ(将来の金利水準に連動する先物・オプションなどの金融商品)の観点では、市場は将来の利上げリスクを織り込みすぎている可能性がある。金利が横ばい、またはやや低下する局面で利益が出やすい取引として、2026年後半限のSOFR先物(米国の代表的な短期金利指標SOFRに連動する先物)の買いが有利になり得る。これは、2025年前半に市場が利下げを誤って織り込んだが実現しなかった状況と対照的だ。
金利の安定は市場の変動(値動きの大きさ)を抑えやすく、オプションのプレミアム(オプション価格のうち受け取る手数料部分)を売る戦略が相対的に魅力的になり得る。VIX指数(S&P500の予想変動率を示す「恐怖指数」)が2026年1~3月期の決算に伴う変動後に16を下回ったことを踏まえると、S&P500のプット・スプレッド売り(下落に備えるプットを組み合わせ、プレミアムを受け取りつつ損失を限定する戦略)は収益確保の手段となり得る。生産者が投入コスト増の価格転嫁に慎重であるとの見方も、低ボラティリティ(低変動)環境を支える材料だ。
地政学、とりわけイラン情勢はエネルギー市場の重要な変数であり続ける。紛争が終結すれば、供給面の好材料が戻り、原油価格が急落する可能性がある。ヘッジ(損失を抑えるための保険)または外交進展を見込む取引として、WTI原油先物(米国産原油の代表指標)の中期プット購入を検討する余地がある。
FRBが強い引き締めに傾かない場合、一般に米ドルの重しになりやすい。ドル指数(DXY:主要通貨に対するドルの強さを示す指数)はこの1カ月で104.5近辺まで軟化しており、この流れは続くと見込まれる。通貨連動ETF(為替を反映する上場投資信託)のオプションを用い、ユーロや円に対するドル安に備える戦略が考えられる。