豪州の3月の貿易収支は前月比18億4,100万豪ドルとなり、市場予想の42億5,000万豪ドルを下回った。
今回の結果は、想定より貿易黒字(輸出が輸入を上回る状態)が小さかったことを示す。予想と結果の差は24億900万豪ドルだった。
3月の貿易黒字が大きく予想を下回ったことで、豪州経済の減速が想定以上に速いという見方が裏付けられる。主要輸出品への海外需要が弱っているサインであり、豪ドルには下押し圧力が強まる可能性が高い。今後数週間の主要テーマになり得る。
このデータに加え、先週発表された1-3月期のCPI(消費者物価指数、物価の上昇率を示す指標)が予想より弱い3.4%だったことも踏まえると、RBA(豪準備銀行、豪州の中央銀行)が追加利上げ(政策金利の引き上げ)を検討する可能性は低い。焦点は年後半の利下げ(政策金利の引き下げ)時期に移る。市場では年内利下げの確率をより高く織り込み始めており、1カ月前から大きな変化となっている。
弱さは中国要因が大きい。5月1日に公表された中国の製造業PMI(購買担当者景気指数、50を上回ると拡大・下回ると縮小の目安)が49.8と再び縮小圏に入った。商品市況にも表れており、鉄鉱石先物(将来の価格を約束する取引)は1トン当たり95ドルを今年初めて下回った。最大の貿易相手国からの需要が鈍っている兆候だ。
この動きは、2025年半ばにかけて見られた減速局面に似ている。当時は中国の不動産セクター不安を背景に商品価格が急落し、輸出収入が落ち込むなかAUD/USD(豪ドル/米ドル)は四半期で8%超下落した。
この見通しを踏まえると、AUD/USDのプットオプション(期日までにあらかじめ決めた価格で売る権利で、下落に備える手段)を7月・8月満期で買い、下振れに備える選択肢がある。保険料に当たるプレミアム(オプション購入時の費用)を抑えたい場合は、ベア・プット・スプレッド(プットを買い、より低い行使価格のプットを売ってコストを下げる戦略)で0.6200近辺への下落を狙うのが現実的だ。損失の上限をあらかじめ限定できる。
より直接的な弱気表現として、豪ドル先物(将来の一定時点で豪ドルを売買する契約)を売る戦略も考えられる。また、貿易収支の弱さは、豪州の輸出数量の影響を受けやすい原料炭(製鉄用の石炭)などのコモディティ先物を売る機会にもなり得る。