EUR/USDは水曜日の欧州時間序盤にかけて約1.1730まで上昇し、1.1700を上回った。市場はこの後公表予定の米ADP雇用者数(4月、民間部門の雇用増減を示す統計)を待っている。
火曜日、ドナルド・トランプ米大統領は「イラン代表との間で、完全かつ最終的な合意に向けて大きな進展があった」と述べた。また、ホルムズ海峡で商船の通航を支援する取り組みに関連する「プロジェクト・フリーダム」について、一時停止に同意したとも語った。
地政学とリスクセンチメント
イランは火曜日早く、ワシントンとの緊張が続く中、ホルムズ海峡での船舶の通航に関する新たな仕組みを導入した。市場参加者は、米国とイランの停戦(戦闘停止の合意)に向けた追加情報を引き続き注視している。
欧州では、物価上昇がなかなか鈍らないとの見方を背景に、欧州中央銀行(ECB)が早ければ2026年6月に利上げ(政策金利の引き上げ)に踏み切るとの観測が強まった。月曜日にはドイツ連邦銀行のナーゲル総裁が、今後数週間でインフレ見通しが改善しなければ、ECBは6月に利上げが必要になる可能性があると述べた。
米国では、連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め寄りの姿勢を維持しており、近いうちの利下げ(政策金利の引き下げ)を示す材料は乏しい。
現在の環境は、ユーロ高・ドル安方向の流れを示している。米・イラン合意への期待が、安全資産とされる米ドルへの需要を弱め、EUR/USDの追い風となっている。この地政学要因の変化は、ECBの利上げ観測の強まりとも重なる。
オプション戦略の検討
ユーロ圏の4月インフレ率が2.8%と目標を大きく上回っていることから、ECBのタカ派姿勢(物価抑制を優先し、利上げに前向きな姿勢)が主要な材料とみられる。市場では6月利上げの確率が70%超と織り込まれており、7月満期のユーロ・コール(ユーロをあらかじめ決めた価格で買う権利)を買う戦略が選択肢となる。中銀決定後に上昇が続く局面の値動きを取り込みやすい。
ホルムズ海峡での緊張緩和は、「リスク回避(リスク資産を避ける動き)」の材料が後退する動きで、2015年の核合意交渉初期に見られた状況に近い。最終合意に至れば原油価格の下押し要因となり、ドルの魅力も低下しやすい。アウト・オブ・ザ・マネー(現状の相場から見て権利行使価格が離れており、すぐには利益になりにくい)USDコール(米ドルを買う権利)を売ることで、この見方を反映させる手段もある。
通貨ペアのインプライド・ボラティリティ(市場が見込む将来の変動の大きさ)は好材料を受けて低下しているが、反転の可能性に備える戦略も考えられる。協議が決裂すれば、ドルへ資金が急速に戻る可能性がある。今後数週間のリスクに備える戦術的なヘッジ(損失を抑える手当て)として、安価な短期のEURプット(ユーロを決めた価格で売る権利)を買う選択肢がある。