先週木曜日、円買い介入(為替相場を安定させるために政府が市場で円を買う取引)を受け、ドル円(USD/JPY)は3%下落した。TDセキュリティーズは、2026年4〜6月期(Q2)にかけて、相場が157.00前後で横ばい(一定の範囲で推移)になるとみている。
160.00は現在、市場で「暗黙の目安」とされている。これが上昇余地を抑え、新規の円売り・ドル買い(ロング)を取りにくくすると見込まれる。
介入が相場の上値を規定
TDセキュリティーズは、介入前の水準へ戻るペースは過去局面より鈍いと予想する。財務省の介入は、特定の為替レートを守るというより、短期の急変や投機的な動き(短期利益目的の大きな売買)を抑える傾向があった。
財務省の最近の介入を踏まえると、当面ドル円の160.00は強い上値の壁(これ以上上がりにくい水準)として働く可能性が高い。こうした見方は、権利行使価格(あらかじめ決めた売買価格)が160以上のアウト・オブ・ザ・マネー(現時点の相場では権利行使しても得にならない水準)のコールオプション(将来、決めた価格で買う権利)を売る戦略(プレミアム=オプション料を受け取る取引)を有利にする。ドル円がこの水準を上抜けないと見込めば、受け取ったプレミアムが収益になりやすい。
先週の介入規模は9兆円超と推定され、2024年春の大規模介入以来の強い姿勢を示した。過去の大きな資金投入は「必要なら動く」意思を示しており、今回の行動は160.00の上限観測の信頼性を高める。短期的に160.00近辺まで戻す局面は、上値が限られることを前提にしたポジション(相場上昇で損が出にくい構成)を作る機会になり得る。
TDセキュリティーズは、ドル円が157.00近辺でのもみ合い局面に入り、先週の高い変動(ボラティリティ=価格の振れの大きさ)から落ち着くと見込む。時間の経過で価値が目減りする性質(タイムディケイ)を狙うオプション売り戦略、例えばショート・ストラングル(離れたコールとプットを同時に売る)やアイアン・コンドル(損失を限定しつつレンジを狙う組み合わせ)に適した環境だ。ドル円が一定範囲内に収まるほど有利になりやすい。
レンジ相場はオプション料狙いに追い風
一方で、大幅下落は起きにくいとの見方がある。主因は日米金利差(米国と日本の政策金利や市場金利の差)が依然3%ポイント超と大きいことだ。この金利差はドル買いの下支えとなり、ドル円が152〜153近辺を大きく割り込んで下落が続く展開は想定しにくい。コール売りは有力でも、プット(将来、決めた価格で売る権利)を強く買い増す戦略は成果が出にくい可能性がある。