USD/INRは2日続伸し、月曜のアジア時間に95.00近辺で推移した。背景にはインドのHSBC製造業PMI(購買担当者景気指数:製造業の景況感を示す指数)の発表がある。4月は54.7と、55.9から下方修正されたものの、前回(53.9)を上回った。
また、米国とイランの協議をめぐる不透明感から米ドルが下げを取り戻し、通貨ペアを支えた。イラン軍は「厳しい」対応を警告し、米国に対しホルムズ海峡へ入らないよう求めた。
Strait Of Hormuz Risks
イラン軍は、商船や原油タンカーは調整なしにホルムズ海峡を通過すべきではないと述べた。イラン当局者は、米国の関与は停戦違反と見なすとし、ペルシャ湾での威嚇を警告した。
ドナルド・トランプ氏は、米国が月曜から中立船をホルムズ海峡経由で誘導し始めると述べた。イランは、最新の14項目提案に対する米国の対応を検討中だとし、トランプ氏は不十分な可能性があると述べたと、ブルームバーグが伝えた。
WTI(米国産原油の代表的指標)は1バレル=100.00ドル近辺で推移した。インドは主要な原油輸入国であり、原油高は輸入代金決済のためのドル需要を押し上げやすい。ロイターは、4月のポートフォリオ流出(海外投資家による株式・債券などの資金引き揚げ)が約65億ドル、2026年の引き揚げは約206億ドルと報じた。
テクニカル面では、USD/INRはレンジ(一定の値幅内での推移)を維持し、9日EMAと50日EMA(指数平滑移動平均:直近の価格に比重を置いた平均値)を上回って推移。14日RSI(相対力指数:買われ過ぎ・売られ過ぎを測る指標)は64近辺。注目水準は95.33、94.50、93.11、92.50、92.14。
Strategy And Key Levels
ホルムズ海峡の緊張が原油価格を1バレル=100ドル前後に押し上げているため、ルピーには下押し圧力が続く可能性がある。この環境では、デリバティブ(先物・オプションなどの派生商品)取引ではUSD/INRのロング(上昇を見込むポジション)を検討し、コールオプション(一定価格で買う権利)でルピー安に備える手段も考えられる。米EIA(エネルギー情報局)が公表したデータでは、米原油在庫が市場予想に反して210万バレル減少し、原油高方向の見方を後押しした。
米国とイランの和平協議は継続しているものの先行きが読みにくく、市場の不安心理を高めている。インドVIX(株式市場の予想変動率=不確実性の指標)が足元で22を上回っており、インプライド・ボラティリティ(オプション価格に織り込まれた予想変動率)上昇によりオプションは割高になりやすい一方、急変動リスクの高さも示す。輸入企業は、フォワード(先物為替予約:将来の為替レートを固定する取引)でヘッジを強め、95.33の過去最高値を上抜けるドル高に備える動きが増える可能性がある。
これは、2022年初のウクライナ侵攻後にエネルギー価格が急騰し、新興国通貨が広く下落した局面と似た力学だ。海外投資家が逆風下でインドへの投資比率を下げ、資金を本国へ戻す(レパトリエーション)ためのドル需要が続けば、USD/INRの下支え要因になりやすい。