ベーカー・ヒューズによると、米国の稼働中の石油リグ(油井掘削設備)の数は408基に増えた。
前回は407基で、合計は1基増加した。
リグ数は供給が安定していることを示唆
稼働中の石油リグは408基へと小幅に増えた(+1基)。この小さな変化は、エネルギー価格が底堅い(強い)にもかかわらず、生産会社が掘削(新しく油井を掘る作業)を急いで拡大していないことを示す。シェール(頁岩層から採れる原油・ガス)の主要産地では、設備投資を抑える姿勢(資本規律)が続いており、供給が急増しにくい。
掘削活動が安定していることは、WTI(米国の代表的な原油価格指標)が1バレル=90ドルを上回って推移している現状の下支え材料となる。オプション(将来、あらかじめ決めた価格で売買する権利)市場では、インプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の価格変動の大きさ)が低水準にとどまりやすい。米国から供給面の大きなショックが起きるとの見方が弱いためだ。この場合、オプションは相対的に割安になり、夏場の需要を見込む方向性の取引に使いやすい。
振り返ると、リグ数は2025年末の約400基から緩やかに増えてきた。過去10年に見られた急拡大と急減速の繰り返しとは対照的で、生産会社が慎重に生産を増やしていることが、市場の需給バランス維持につながっている。
先週の米エネルギー情報局(EIA:米政府のエネルギー統計機関)の在庫統計では、原油在庫が210万バレル減少(取り崩し)し、市場予想を上回った。在庫減少とリグ数の横ばいに近い動きは、新規生産より需要がやや上回っている状況を示す。需給の基調は、原油先物(将来の受け渡しを約束する取引)にとって上昇材料となる。
さらに、近く開催されるOPEC+(OPECと非加盟の主要産油国による協調枠組み)会合にも注目が集まる。市場では現行の生産枠(加盟国ごとの生産上限)が維持されるとの見方が優勢だ。米国シェールとOPEC+の双方で供給の大幅増が見込みにくい以上、原油価格は横ばいから上方向に動きやすい。供給のタイトさ(供給余力の小ささ)が当面の最大要因となる。
夏場の上昇を見据えたポジション
こうした環境では、7月または8月のWTI先物を対象にしたコールスプレッド(買いのコールと、より高い権利行使価格のコール売りを組み合わせ、コストと利益を限定する戦略)で、夏場の価格上昇に備える余地がある。供給が抑えられる一方で季節的な需要が強まりやすく、損失が限定される形で上昇局面を狙える。リグ数の増加が最小にとどまったことは、価格が急落するリスクが相対的に小さいとの見方を支える。