複数のメディアは金曜日、イラン側の情報として、イランが戦争終結を目指す新たな提案を送ったと報じた。報道によれば、これは木曜日にパキスタンの仲介を通じて示された米国側の修正案(変更内容)へのイランの回答でもある。
見出しを受けて、米ドルは他通貨に対して下落した。記事執筆時点では、米ドル指数(複数の主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)は0.23%安の97.88だった。
市場の反応(概要)
米株価指数先物はまちまち。S&P500先物は0.15%上昇した一方、ナスダック先物は約0.2%下落した。
イランの新提案を受け、市場では典型的な「リスクオン」(投資家が安全よりも収益機会を優先し、株などを買いやすくなる状態)の動きが出ている。初動での米ドル安は、投資家が「安全資産」(不安時に買われやすい通貨や資産)から距離を置いているサインといえる。これにより、主要資産の「インプライド・ボラティリティ(IV)」(オプション価格に織り込まれた将来の値動きの大きさの予想)が低下しやすい。
最も分かりやすい取引は、CBOEボラティリティ指数(VIX、S&P500の予想変動率を示す指数)の低下を見込むことだろう。VIXは4月下旬に17前後で推移していたが、外交的な解決が進めば年初来安値の14近辺へ低下する可能性がある。投資家はVIXのアウト・オブ・ザ・マネー(現時点では権利行使しても得にならない水準)コール(上昇に賭ける権利)を売る、またはプット・スプレッド(下落に賭ける権利を組み合わせ、コストと損益を限定する戦略)を買うことで、市場の落ち着きからの利益獲得を狙える。
株式市場では、地政学リスクの後退が追い風となりやすく、とりわけ幅広い銘柄を含むS&P500にプラスに働く。S&P先物の反応は、合意が現実味を帯びれば上昇が続く可能性を示す。上昇局面にレバレッジ(小さい資金で大きい値動きを狙う効果)を効かせる手段として、SPY(S&P500に連動する上場投資信託=ETF)の短期コール購入が選択肢となる。
エネルギー市場への影響
ただし、最も大きな影響が出やすいのはエネルギーだろう。国際エネルギー機関(IEA)の推計では、正式合意となれば、イラン産原油が日量150万バレル追加で世界市場に戻る可能性がある。供給増は原油価格に下押し圧力となりやすく、WTI原油先物(米国産指標原油)やUSO(原油に連動するETF)で期先(満期が遠い)プットを保有することは、下落リスクへのヘッジ(損失を抑えるための保険)として有効になり得る。
為替では、安全資産としての魅力が薄れるほど米ドルは弱含みが続きやすい。2025年後半に両国の初期協議が進展した局面でも似た動きが見られた。こうした資金の流出を見込み、UUP(米ドル高に連動するETF)のプット購入が収益機会となる可能性がある。